【憧れシゴト図鑑】 [Alexandros]、SILENT SIREN、ポルカドットスティングレイほか、人気アーティストのMVを手掛ける映像監督・かとうみさとさんインタビュー

s_IMG_8941

SILENT SIREN、ポルカドットスティングレイ、[Alexandros]、バンドじゃないもん!、ぼくのりりっくのぼうよみ…と音楽好きならワクワクするようなアーティスト名が並ぶ。映像監督、CGデザイナーとして活躍するかとうみさとさんがこれまで一緒に仕事をしてきたアーティストたちだ。彼女はどうやって今の仕事に就いたのか、バイタリティ溢れるその軌跡を聞いた。

アーティストが叶えたいイメージを映像化する仕事


ポルカドットスティングレイ「レム」(アルバム『全知全能』収録曲)のMV。撮影には丸2日かかったという。

――MV(ミュージックビデオ)やCMなどを手掛けるクリエイティブプロダクション「A4A」に所属するかとうさん。入社3年目、まだ26歳の彼女は、アーティストのMVで映像監督を務め、CG制作やCDジャケットのアートディレクションなども手掛けている。

「MVの監督を任せられるようになったのは1年半ぐらい前からです。知り合いのプロデューサーに“実写を撮ってみたい”と相談したところ、“合いそうなアーティストがいるのでやってみないか”と勧められたのがきっかけです。それまでは、MVやライブで使用するCG制作が主な仕事でした。今は、社長である東市篤憲(とうし・あつのり/A4Aの代表取締役であり、映像ディレクター)と共同で監督をすることもあります。ポルカドットスティングレイのボーカルの雫さんやSILENT SIRENのメンバーは、年齢も近いせいか感性が似ている部分もあって、打合せはとても楽しいです」

――「映像監督」という肩書はよく目にするが、実際にはどんな仕事なのだろうか。

「アーティストが叶えたいと思っているイメージや夢を映像によって実現したり、いちリスナーとしての感想を表現して世界観を広げる仕事だと思っています。例えばポルカドットスティングレイの場合は、最初の打合せから雫さんが脚本を書いてくるんです。それを東市と私、雫さんの3人で、どう映像で表現できるか、追加要素はないかなどじっくり話し合います。それを絵コンテにおこし、細かいチェックを受けてから撮影です。


[Alexandros]「Feel like」(アルバム『EXIST!』収録曲)のMV。

[Alexandros]の川上洋平さんも、MV全体のビジュアルイメージを具体的に持っているタイプだと思います。一方、SILENT SIRENは、楽曲のコンセプトやイメージはありつつも、映像でのアウトプットの大枠は任せてくださるので、彼女たちの想いを汲み取って撮ります」

――アーティストのMVはオシャレでかっこいい作品が多い。こんな映像をどうやったら思い付くのか。それは“直観”だという。

「曲を聴いて情景が浮かぶことが多いですね。だから作品には自分の趣味嗜好が強く出ていると思います。直感を大切にしているので、気を付けているのは、歌詞に寄り添い過ぎないこと。寄り添い過ぎるとイメージが広がらないんです。

SILENT SIRENのアルバム『GIRLSPOWER』(2017年12月27日発売)。CDジャケットのアートディレクションを手がけた。

でも、普段、何か意識したり、直感を磨くトレーニングをしているわけではありません。例えば、ファッションが凄く好きという嗜好的な面や、思い出、実現できなかった悔しさといったルーツ的な部分をバックボーンとして持っていて、それが私の中でいろいろな引出しを形成しているとしたら、そのアーティストにはどの引き出しが合うのか、無意識のうちに当てはめているんだと思います」

バイトで交通費を貯めて、尊敬できる人に会いに行く

s_IMG_8883
――とはいっても、今のポジションは、運だけでは辿りつけられるものではない。それは並々ならぬ彼女の行動力の賜物だった。

「高校時代は門限18時という厳しい家庭で育ち、バンドやバスケ部のマネージャーをやるごく普通の女子高生でした。将来の夢も漠然としていたんですが、テレビを観て考え方に共感した小山薫堂さんが、山形にある東北芸術工科大学で教授を務めていると知って。それで小山さんの生徒になりたいがために、親の反対を押し切って入学し、自宅のある仙台から往復4時間かけて通学していました。

小山さんの影響もあって、今も続けているのですが、“尊敬できる人に直に会いに行く”ことを実践するようにしました。私がやりたいことについて、その人たちの方がよく知っています。話をすれば私自身の頭を整理することもできますし、勉強になりました。いろいろな方がゲスト講師として学校に来てくださったので、気になる人にもう一度会うために、夜行バスで何度も東京に行きましたね。交通費はもちろんバイト代をあてていました。ファミレスやゲームセンターで働いていたんですが、大学3年の時、“どうせなら、いろいろな場所に行けて、普段とは違う人に会える”という理由で、イベントの派遣バイトをしていましたね」

――精力的に活動するかとうさんは、大学2年の時に東日本大震災を経験。それが映像に興味を持つきっかけの一つとなった。
「被災してライフラインが途切れ、普通の生活を送れていない時に、空にキャッチコピーが一言書かれただけのCMをテレビで観て、“私たちのことをちゃんと考えている”とその映像から伝わって。元々はプロデューサー志望だったんですが、その時から映像制作に興味を持つようになりました。

それでインターンで映像制作の会社で仕事をし、講師の秋山具義さん(アートディレクター)の紹介で東市とも知り合いました。映像制作に興味があることを東市に話したら、『うちにインターンでおいでよ』と声をかけてもらって。入社できるのか半信半疑だったのですが、大学卒業後に入社しました。と同時に、東市が持っていないものを手に入れたいと思い、働きながら週2回、CGデザインの専門学校に通って勉強もしました」

好きなことをトコトン突き詰めればその関係の仕事に就ける

s_IMG_8981

――仕事を任せられるようになった今、毎日が楽しいという。

「憧れだったアーティストに直接会える嬉しさはありますし、ライブでは、自分の作ったCGで会場が盛り上がるのを目の当たりにできます。東市に褒められたり、アーティストから“いいね”と言われると達成感も感じられます。将来的にはCMやドラマ、映画を撮りたいのですが、今は、中学時代にバンドでコピーもしていたチャットモンチーのMVを作りたいです!」

――夢が尽きないかとうさん。彼女のように夢を手に入れるにはどうすればいいのか。

「少なからず誰にでも好きなものは絶対にあるわけですから、その世界で尊敬できる人の話を聞いたり、友達を作ったりして深めていけば、本当に好きなのか、やっぱり合わないのかがわかります。その上で好きなら突き詰めれば、それに関係する仕事に就けると思います。語弊があるかもしれませんが、必ずしも段階を踏む必要はなくて、どうしたら早くやりたい仕事に就けるか、私のように人に会いに行くとか、夢の実現のためにショートカットを心がけることも意外と大切だったりします」

■プロフィール
かとうみさと(カトウ・ミサト)

1991年9月7日生まれ、宮城県出身。東北芸術工科大学卒業後、2014年4月にクリエイティブプロダクション「A4A」に入社。現在は代表取締役副社長であり、映像監督、CGデザイナー、アートディレクターとしても活躍。[Alexandros]、SILENT SIREN、ポルカドットスティングレイほか多くのアーティストのMV、CG等を手がける。

Twitter
https://twitter.com/nebiru3

ホームページ
http://misatokato.com

ホームページ(A4A)
http://a4a.jp/

取材・文:黒川秀紀 編集:小川 晶 撮影:八木虎造

関連する求人情報

関連ワード

【インタビュー】憧れシゴト図鑑の関連記事