2004年のサービス開始以来、急成長を続け、国内最大級のファッション通販サイトに成長したZOZOTOWN。物流拠点のアルバイト2,000人の募集を発表したり、時給を大幅にアップしたりといった革新的な経営スタイルが話題を呼び、多方面から注目を集めています。そこで今回は、物流拠点「ZOZOBASE」でアルバイトを経験され、現在はフルフィルメント本部で正社員としてご活躍中の紅谷 萌夏(べにや もえか)さんにインタビュー。「アルバイト入社当初はそれほど仕事熱心でなかったけれど、ほどなくして早く仕事に行きたいと思うようになった」と語る紅谷さんに、ZOZOBASEでのアルバイトの魅力や、社員登用までの道のりなどについて伺いました。
ZOZOBASEのアルバイトとは?
――ZOZOBASEでの仕事内容を教えてください。
今から2年ほど前にZOZOBASEでアルバイトを始めました。当時、担当していたのは「荷受セクション」です。
「荷受」というと、商品の荷下ろしや積み替え・移動作業など重労働のイメージがありますが、私は各ブランドさんから受け取った納品書のデータ入力などのデスクワークを主に担当していました。本当は体力に自信があるほうなんですけど(笑)。
正社員となった現在は、「検品セクション」で商品の下げ札に書かれている品番やサイズ、カラーなどの情報と実物とを照合する作業に従事にしているアルバイトスタッフのマネジメントを中心に行なっています。より広範囲な作業を経験し、これまで触れ合う機会がなかった部署や人とも関わりながら、倉庫の運営に関してさらに理解を深めているところです。

――どうしてZOZOBASEでアルバイトされようと思ったのですか?
もともと洋服が好きだったので、なにかしらファッションに関わりたいという気持ちはありました。ZOZOBASEでアルバイトしている人たちは、流行に敏感な人が多いので良い刺激になっています。中には個性が爆発しているような人もいますが(笑)。
服装や髪型などの規定が厳しい飲食店で働いていたこともあり、髪の色やピアス・服装などが自由なことも、アルバイトを選ぶ上での条件としていました。
装いに制限のない職場は、いろんな価値観を認め合える職場であるということ。結果的に同僚とはラフな付き合いができていますし、居心地もとてもいいですね。今振り返ってみても、自由な服装で仕事ができる職場を選んだことは正解だったと感じています。
――アルバイトをしていて印象に残っていることはありますか?
同僚の中には自分の親ぐらいの年齢の方もいて、どう接していいか分からず戸惑ったこともありました。当時、荷受の仕事では私が最年少だったこともあり、「若造の分際で……」と思われているのではないかと疑心暗鬼になって、変に構えてしまっていたんですね。
ところが、年が離れていても友達みたいに接してくれる方も多くて、アルバイトのときに知り合った20歳くらい年齢が離れた方とは、今もプライベートでお付き合いさせていただいています。年齢に関係なくアルバイト同士がこれだけフランクに付き合える職場はそうないですね。
些細なきっかけで仕事に情熱を傾けることに

――初めから社員登用を目指してお仕事をされていたのでしょうか?
まったく目指していませんでした。アルバイトを始めた頃は週2日勤務で、むしろあまり熱心なほうではありませんでした。はじめはアルバイトリーダーが数十名ものアルバイトを一人でまとめあげているのを、他人ごとのように遠くから眺めるだけでした。でも職場になじんで仕事を覚えるうちに、いつのまにか仕事の合間を縫って進んで手伝うようになっていったんです。
周囲の人から頼られたり、少しずつ責任ある仕事を任されたりするにつれて、仕事への意欲が徐々に増していきました。すると自然と周りから助けてもらえることも増え、周囲の見え方が少しずつ変わってきたんです。
仕事ですから、思うようにいかないことや、ひるんでしまうことはもちろんあります。でも、これだけ支えてくれる人がいるのだからやってみようという思いのほうが勝るようになりました。この職場ならなんでもできるという気持ちになれたんです!
――万能感?
はい。支えてくれる仲間というセーフティーネットがあるから、失敗してもいいやと。誤解を恐れずに言うと、もっと仕事がしたい、朝起きたときに早く出勤したいと思えるようになったんです。
――アルバイトをされながら特に心がけていたことはありますか?
自分に与えられた仕事をこなしながら、全体の流れをより良くするにはどうしたらいいかを常に考えながら作業していましたね。
指示された仕事以外でも、やっておいたほうがいいと思ったことがあれば、どんどんアルバイトリーダーや正社員のメンバーに提案していきました。現状のルール内で解決しようとするのではなく、どうすればより作業がスムーズに進行するのか、新しく何に取り組めばより良くなるのかを、今でも常に考えるようにしています。
倉庫作業は一人でするものじゃない!仕事の質を向上するZOZOの魔法

――倉庫作業は単調なイメージがありますが、実際はどうですか?
ZOZOBASEでアルバイトをしていて特に強く感じたのは、倉庫作業は決して一人でするものではないということです。確かに、荷受の仕事では個人プレーも少なくありませんが、同セクション内や異なるセクションともコミュニケーションをとって連携することで、仕事の質が大きく変わってきます。
作業を進める中で自分ひとりでは解決できないことや、どうしていいか分からないことが少なからず出てきます。そんなときは放置せずに、アルバイトリーダーや正社員のメンバーに一つ一つ質問して解決することで、難しいと感じていたことがやりやすいと思えるようになりました。
異なるセクション間でも、「進捗どうですか?」「今日はどんな感じですか?」など声かけして普段から積極的に情報共有しておくことで、いざというときに助け合えて作業がスムーズに進むことが少なくありません。
――仕事のどんな点にやりがいや楽しさを感じますか?
飲食店でのアルバイトのような接客業から離れ、黙々と作業をするような仕事がしたいという思いから倉庫の仕事を選んだのですが、気がつくと周りと連携して作業を効率化することにやりがいを感じていましたね。私はもともと友達が多いほうでもないんですが、意見や疑問などをきっかけにコミュニケーションを活性化して、新しいやり方に挑戦し、より良い職場環境づくりに貢献できるところに、ZOZOBASEのアルバイトの本当の楽しさがあると思います。
もちろん、年齢差のあるアルバイト同士で友達になったり、正社員の方と休日に遊びに行ったりと、交友関係が広がったのも大きな収穫でした。
頼ること、頼られることが大切。すべてはコミュニケーションあってこそ

――アルバイトを通じて、コミュニケーションの大切さを学ばれたということですね?
そうですね。私自身、社内に悩みを気軽に相談できる人がたくさんいるからこそ、つまずくたびにより良い働き方へのヒントを得ることができていると思っています。アルバイトを始めて間もない頃は、正社員の負担を増やさないようにと、言いたいことがあっても飲み込んでしまっていたのですが、正社員になった今は、現場で作業する人の声が作業の効率化やより良い現場づくりの原動力になると実感していて……一人でも多くの人の意見を拾って、建設的な新しい仕組みづくりに役立てられたらと考えています。
社員登用試験に受かったのも、コミュニケーションを密にするよう心がけたことの成果の一つだと思っています。登用試験のための資料を作成するときに、会社の理念などについて丁寧に教えてもらったり、自分の強みを引き出してもらったりと、正社員の方にも助けていただきました。
頼ったり頼られたりすることが、お互いにとっても会社にとってもプラスになることをアルバイトを通じて学んでいなければ、社員登用には繋がらなかったかもしれません。

――これからアルバイトをされる人にメッセージをいただけますか?
ZOZOBASEのように、コミュニケーションを重ねることで仕事がより楽しく、有意義に思えるようになるケースは多いはずです。コミュニケーションを円滑にするためにも、スタッフ同士で基本的な価値観を共有できるような職場を見つけることが大切だと思います。
最後に

「お客様が選んだ洋服を確実にお手元に届けることで、洋服とお客様とを結ぶためのささやかなお手伝いができる。それがこの仕事の醍醐味です。」と、はにかんだ笑顔で話す紅谷さん。そして優しい眼差しで彼女を見守る広報のおふたりのお話を伺っていて、倉庫アルバイトのイメージが180度覆されました。
株式会社ZOZOでは、アルバイトから社員登用される人の割合が全社員の3割を超えています。いずれ社員登用を目指す人にとっては、特に魅力的なアルバイトだと言えそうです。
(取材・撮影・文:鈴木 一禾)
株式会社ZOZO:https://corp.zozo.com/