俳優・納谷健さん(劇団Patch)インタビュー 「どんなにツラい道であろうと、前へ進まなければ見えるものも見えてこない」

納谷健

関西発の劇団Patchに所属する納谷健さん。この夏は「七つの大罪the STAGE」に主演したばかりで、次は水泳の飛び込み競技に懸ける少年たちの青春を描いた『「DIVE!!」The STAGE!!』に主人公・坂井知季役で出演する。2.5次元作品を中心に快進撃を続ける納谷さんの、俳優という仕事にかける思いをインタビューしてきました。

 

飛び込みに懸ける少年たちの人間ドラマを見てほしい

納谷健

――小説からアニメ、映画など様々なメディアで展開された人気作品「DIVE!!」初の舞台化ということで注目を集めていますが、プレッシャーはありませんか?

正直、プレッシャーはありません。僕が「DIVE!!」のアニメや小説を見て感じたものや、飛び込みという競技をどんなふうに表現しようかと今からワクワクしています。飛び込みがまだメジャー競技ではなく、観劇を懸念する方も中にはいるかもしれませんが、ダイビングクラブメンバーの関係性をはじめ、心がたくさん動かされる人間ドラマになっているので、多くの方に観ていただきたいです。まずは僕らがしっかりお芝居を作り上げて、さらにそこへエンタテイメント要素をプラスしていけたらと考えています。

――舞台上でどんなふうに飛び込みを表現するのかとても気になります。ちなみに、これまでスポーツに打ち込んだ経験は?

13年間テコンドーをやっていて、オリンピックを目指すか否かというところまでいきました。全日本大会での最高成績は準優勝だったんですけど、そこで満足して辞めてしまったんです。テコンドーは自発的に始めたのではなく、“習わされていたもの”だったんですが、やっていくうちに夢中になって、悔しさを感じたり、頑張った末には楽しいと感じることもありました。そして今は、役者の仕事でつらいことがあっても、作品がお客様へ届いた時に喜びに変わることがあります。それが役者を続けていく糧になっています。

 

挫折しながら力強く進んでいく知季は魅力的なキャラ

納谷健

――ご自身もスポーツをやっていたからこそ、理解できる主人公の心情などもあるんでしょうね。

坂井知季というのはとことん打ちのめされて挫折して、それでも前を向いて進んでいく姿が素敵なキャラクターで “選ばれし者”感があるんです。だけど、飛び込みに懸ける真摯な姿勢を一番に表現したいので、特別な人の特別な物語にならないよう些細なことにも気を配りながら、演じたいと思っています。

――役柄同様ストイックですね。一番観てほしいのはどんな部分ですか?

やっぱりお芝居ですね。お客様には僕らが描く人間ドラマを通して、一緒に挫折して、一緒に立ち直って、夢や目標へ向かって飛び立ってほしいんです。そこがこの『「DIVE!!」The STAGE‼』の目指すところだと思うんです。飛び込みというスポーツを軸に描いていますが、観てくださる皆さんが身近に感じて、共感を得られる作品になっています。自分に置き換えた時に重なる部分もたくさんあると思うので、僕らのメッセージを受けとって日々の生活に活かしていただきたいです。

 

両親の後押しで好きな世界へ進むことができた

納谷健

――多くの人の活力となる作品になりそうですね。納谷さんはいつ頃から俳優という職業を志すようになったんですか?

小さい頃、テレビの戦隊モノを観てはヒーローのマネをし、テコンドーを始めてからはジャッキー・チェンさんに憧れてアクション映画を観るようになったんですけど、その時は自分が役者になるなんて考えてもいなかったんです。その後ダンスを始めたことで何かを表現することに興味を持ち、役者という職業を意識し始めました。もともと好きなこと以外したくない性格で、そんな僕の思いに気づいた親が「好きなことをしたらええやんけ」と背中を押してくれたんです。

――ご両親の後押しがあったと…。

そこからいろんなオーディションに応募したんですが、すべて落ちていて……。それで、二十歳になる直前「このままではいけない。これを最後にしよう」と思って受けたのが、劇団Patchのオーディション。もう言い訳もしたくないからと学校もアルバイトも辞め、この世界でやっていこうという覚悟を決めて応募し、そして合格しました。

 

「七つの大罪」主演で得た大きなもの

納谷健

――潔い選択でしたね。ところで、納谷さんが役者になって「夢が叶った」と感じたことはありますか?

デビュー前に作品を観て元気をもらっていた佐々木喜英さんや輝馬さんと、舞台「刀剣乱舞」で3兄弟を演じることになり、そこでいきなり夢が叶ったんです。そして、この作品をきっかけに一人暮らしができるようになり、役者の仕事だけで食べていけるようになりました。

――「刀剣乱舞」との出合いは大きかったですね。

はい。そして、何より大きかったのは、「七つの大罪」に主演できたことですね。あるスタッフの甥っ子さんが、僕が演じたメリオダスを観て「勇気をもらったよ」と言ってくれたそうで、それを聞いた時にボロボロ泣いちゃったんです。演技を通してなにかを感じてもらえるような存在になりたいと思って仕事を続けてきたので、その話を聞いたときはすごく感動しました。

――何よりも幸せなことですよね。

確かに幸せなことなんですが、夢が叶ったと同時に目標を失ってしまったんです。「次は何のために頑張ればいいんだろう…」と悩みましたが、演出の毛利亘宏さんが打ち上げの席で「『七つの大罪』はすごくいい環境だったから、これから先、健が見る景色はツラいものになるかもしれない。だけど、進み続けるしかないんだから頑張れ」と言ってくださって。どんなにツラい道であろうと、先へ進まないことには見えるものも見えてこないので、今は進み続けなきゃと前を向くことができました。

 

自分と同じように頑張ってる人がまわりにいる

納谷健

――それはどんな職業にも言えることなのかもしれませんね。では、同じように奮闘している同世代の皆さんへメッセージをお願いします。

この間「24時間テレビ」を観ていたらみやぞんさんが「何かをやったから、人間価値があるわけじゃない。皆さんも十分頑張っている」という話をされていたんです。僕たちはお芝居などを届ける側ではあるけど、観てくださる皆さんも日々頑張っているということが念頭にないと、僕が演技を通して皆さんに伝えるメッセージはただのエゴになってしまう。あなたも頑張ってるし、僕らも頑張ってる。「同じように頑張ってる人がまわりにいるから、一緒に頑張っていきましょう!」と同世代の皆さんへ伝えたいです。

 

■プロフィール
納谷健(なや たける)

1995年8月7日、大阪府生まれ。2015年「第4回劇団Patchオーディション」で準グランプリを受賞し、4期生として入団。2016年に舞台「刀剣乱舞」の小夜左文字役でデビュー後、同シリーズで人気を博す。主な出演作に舞台「ホイッスル!BREAK THROUGH ―壁を突き破れ―」、「薄桜鬼」、「おおきく振りかぶって」など。今後は「Patch stage vol.12『ボクのシューカツ。』」、「梅棒 9th“RE”ATTACK『超ピカイチ!』」に出演する。

◆OFFICIAL SITE:http://www.watanabepro.co.jp/mypage/90000026/
◆劇団Patch OFFICIAL SITE:http://www.west-patch.com/
◆劇団Patch OFFICIAL BLOG:https://ameblo.jp/patch-west/
◆OFFICIAL Twitter:@patch_takeru78
◆OFFICIAL Instagram:@patch_takeru78

 
編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
取材・文:荒垣信子

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