年末年始は巫女になるチャンス! 女子の憧れバイト“巫女さん”って何するの?

巫女バイト

赤い袴をはき、神社の境内で凛とたたずむ巫女さん。憧れたことのある女性は、多いのではないでしょうか。

ただ、巫女さんが普段どんな仕事をしているかって、あまり知らないですよね。そこで、東京・原宿にある東郷神社で、巫女助勤(アルバイトの巫女)を経て正職員となり、23歳にして巫女長を務めている戸澤菜摘さんに、仕事内容ややりがい、向いている人の特徴を教えてもらいました。

 

神道にまつわる知識がなくても、働きながら学べます

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「巫女は、最初にみなさんをお迎えする神社の顔のような存在です」(戸澤さん)

――最初に、巫女さんの仕事内容を教えてください。

助勤の場合は、御守や御朱印を頒布する授与所での対応が、主な業務になります。東郷神社では、休日の結婚式のご奉仕も巫女の仕事です。三々九度のお神酒を注いだり、玉串を持っていったりと、意外と人前に立つ仕事が多いんです。

初詣時期の助勤は、おみくじ係や御守係に分かれて、一般的な接客業と近い仕事がほとんどになると思います。

 

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結婚式のサポートも、巫女の大事な仕事の一つ (写真提供:東郷神社)

――巫女さんになる上で注意することはありますか?

規則は神社によっても変わりますが、派手な髪の色や華美な化粧をせず、アクセサリー類はつけないという決まりがあるところがほとんど。一般的に、神社の巫女は未婚女性になります。

資格などは必要ないので、アルバイトとしてのハードルは高くないと思います。始める時は神道にまつわる知識がなくても、働く中で身につくので、安心してください。

――ちなみに勤務時間や日数は、一般的にはどのくらいなのでしょう?

常に助勤を募集している神社では、土日祝日に入ることが多いと思います。東郷神社では、ウエディングシーズンになると、週末は1日10件ほど式が入ることもあるので、人手が必要になるんです。勤務時間は、9時頃から閉門(東郷神社は17時)までが一般的。初詣時期の日数は神社で異なりますが、勤務時間は普段と変わらないでしょう。

 

おめでたい瞬間に立ち会わせてもらえる、素敵な仕事

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インタビュー中、屈託のない笑顔を見せ、フランクに話してくれた戸澤さん

――戸澤さんが、巫女さんを志したきっかけは?

私は秋田県にある神社に生まれたんですけど、実家にいる頃は神社の仕事が好きじゃなくて、パティシエになるために上京したんです。両親に言われて、20歳に神主の資格を取ったんですけど、その時に1カ月間の実習で東郷神社にお世話になりました。

資格のために神道を勉強していくと、小さい頃から見てきた行事や祭器具(さいきぐ:神道で用いられる道具)の意味がわかって、興味が湧いたんです。そのタイミングで、当時の巫女長さんから「働いてみない?」と誘っていただいて、土日や忙しい時期に助勤で入るようになりました。それから約1年間勤めて、昨年正職員になったんです。

――いざ巫女さんの仕事を始めて、やりがいはどんなところに感じますか?

結婚式のご奉仕に入る時は、おめでたい瞬間に立ち会わせてもらって、素敵な仕事だと感じます。新郎新婦にとっては一生に一度のことなので、進行や作法を間違えず、特別なものになるように気をつけています。

日常的に、神社にはいろんな感情を抱えた方が来るんですよ。おめでたいことのお祝いで来る方もいれば、病気や受験などで重い気持ちの方もいるので、心に寄り添うまでは難しくても、思いを察して接するように意識しています。100人いたら100通りの対応があるので、毎日が勉強だし、やりがいを感じますね。

――参拝客の方との印象的なエピソードはありますか?

東郷神社は勝利の神なので、受験やスポーツの試合の前に勝利の御守「勝守」を手にしていく方が多いんですが、「勝てました」ってお礼参りに来てくださる方も多いんです。私達が何かしたわけではないけど、「ありがとう」と言われるとうれしいですね。

 

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御守や御朱印の頒布など、授与所での対応が巫女の日常業務

 

最初は、言葉遣いや立ち居振る舞いに苦戦するかも

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「私も神主の資格を取るまでは、知識はほとんどありませんでした(笑)」(戸澤さん)

――巫女さんの仕事ならではの難しさは、どんなところでしょう?

最初は、言葉遣いや立ち居振る舞いに苦戦すると思います。例えば、御守や御朱印の料金は「御初穂料(おはつほりょう)」と呼ぶんです。参拝客の方には「ありがとうございます」とは言わず、東郷神社では「ようこそお参りくださいました」と言います。「よいお参りでした」「ご苦労様でした」と言う神社も。相づちも「そうですね」ではなく「左様でございます」。

歩く時は、叉手(さしゅ:お腹の位置で手を重ねること)をすることが基本のマナーです。言葉や作法は、新人の巫女に注意することも多いですね。

――働き始める前に、研修などで教えてもらえるんですか?

初詣時期の助勤は人数が多いので、働く前に研修があり、受け答えの練習などを行う神社がほとんどだと思います。ただし、日常的に入る助勤は少ないので、働きながら身につけていく場合も多いです。

――その都度、聞いていく感じなんですね。どんな人が巫女さんに向いていると思いますか?

一番は、思いやりを持って人と接することができる人かな。毎日違う参拝客の方が来るので、どんな人のためにも心を尽くせる人が向いていると思います。

巫女は接客の要素も大きいので、笑顔で明るい対応ができる人がいいですね。私も助勤の面接をするんですが、笑顔に注目します。どんな仕事にも通じる、大切な部分ですよね。

 

巫女になって「物腰が柔らかくなった」って言われます

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戸澤さんは、結婚式などで舞を披露することもあるそう(写真提供:東郷神社)

――戸澤さん自身は巫女さんの仕事を通じて、どんなスキルが得られましたか?

東郷神社は原宿という立地もあって、企業にお勤めの方やアパレル、美容関係の方も来ます。神社になじみの薄い若いショップスタッフの方には聞かれたことを詳細に話しますが、神道に詳しい年配の方には必要最低限の説明だけに留めるなど、その方に合った対応を堂々とできるようになりました。

プライベートでも周りの人を見て、「あの人は今これで困ってるな」とか感じ取って、声をかけられるように変わりましたね。もともとすごくがさつだったんですけど、人にも物にも丁寧に接するようになって、周りから「物腰が柔らかくなった」って言われます。

――最後に、巫女さんの助勤(アルバイト)に興味を抱いている人にメッセージを。

神社って厳かで硬いイメージがあると思うんですが、実際は人として大切なことを教えてくれる場所です。初詣の時期は、神社に触れるいい機会だと思います。年越しの瞬間を、参拝客の方々を迎える立場として過ごすって、なかなかできないことなので、興味があったら助勤にチャレンジしてほしいです。

巫女になって初めて聞く言葉も多いと思いますが、プライベートで神社を訪れた時に「この言葉にはこういう意味があるんだよね」ってわかるようになっているはず。そんな小さな気づきも、楽しんでほしいです。

 

まとめ

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インタビュー中、「今でも大雑把だし、『超○○』とかも言いますよ(笑)」と、若者らしい素顔も見せてくれた戸澤さん。神社は荘厳な場所で、働く巫女さんも神聖な存在というイメージがありますが、袴を脱げば普通の20代の女性なんですね。

巫女さんは同世代の女性が多い仕事なので、新たなネットワークが生まれる場所ともいえそう。年末年始の助勤(巫女アルバイト)募集、チェックしてみませんか?

 
取材撮影協力:東郷神社
原宿・竹下通りのすぐ裏手に位置する神社。公式Instagramは戸澤さんが更新中。
https://harajukutogo.wixsite.com/togojinja
Instagramアカウント:togoshrine

 
取材・構成・文:有竹亮介(verb)
撮影:今仲俊介

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