俳優・磯村勇斗さんインタビュー 「壁にぶち当たったとしても、それは今の自分にとって大切なこと」

磯村勇人

朝ドラ「ひよっこ」で料理人、ヒデ役を好演した磯村勇斗さん。今回、出演した「恋は雨上がりのように」で磯村さんは、無愛想な主人公・橘あきら(小松菜奈)に興味をもち、アプローチしてくるバイト先の先輩・加瀬亮介に扮しています。せつなさあふれる作品のエピソードや役者という職業について、そして、同年代の若者たちへの思いを伺ってきました。

 

けだるそうな色気あふれる加瀬に注目してほしい

磯村勇斗

――作品を拝見して、加瀬が厨房からお料理を出す姿にデジャヴを感じました(笑)。ご自分でも「また!?」みたいな思いはありませんでしたか?

ちょっとはありましたね(笑)。「ひよっこ」で演じたヒデはがっつり料理人だったけど、今回の加瀬はあくまでバイトなので、料理に関する特別なレッスンなどはなく、自分の役柄や橘ちゃんとのやりとりに集中していました。

――ヒデとの違いはどんなふうに表現しようと考えましたか?

コック服を着ていたり、やる作業など似たようなところはあるんですけど、性格はまったく違っていて、ヒデはとにかく純粋な男。一方の加瀬は大人でチャラい。ローテンションというか、けだるそうな色気が出せたらと思いながら演じていました。

――ウェーブのかかった髪型がセクシーでしたが、加瀬を演じて感じたことは?

加瀬はとても好きな役で、実際の僕と似てる部分があるんです。けだるさやチャラさは違いますけど(笑)、僕も年齢より大人っぽく見られるほうなので違和感なくすんなり入れました。加瀬って一見遊んでそうだけど、実はしっかりしているというところに注目してほしいです。

 

意中の女性が自分への興味がなかったとしたら、気持ちをすぐ切り替える

磯村勇斗

――自分になびかないあきらに対して加瀬は猛アプローチをかけますが、磯村さんだったらどうしますか?

自分に興味のない女性は放っておきます。なんとしてでも落とそうとは思わない。ダメなものはダメなので、気持ちを切り替えます。

――潔いですね!高校生のあきらが、バイト先の45歳の店長に想いを寄せるという設定についてはどう思いましたか?

最初は正直気持ち悪いなと思いました。でも、作品を見るとお互いのことを真剣に考えていて、店長(大泉洋)も橘ちゃんのことをしっかり考えて大人の対応をとった。橘ちゃんが大人になるためにいい経験になったと思いますし、いい恋をしたんじゃないかなって。

―加瀬的な見どころは?

想いがまったく伝わらない男の虚しさを感じとっていただきたいですね。加瀬は、橘ちゃんと店長の関係をはっきりさせるための存在でもあるので、チャラさだけではない大人の男の魅力を見ていただきたいです。

 

壁にぶち当たるたびに壊してやろうと思う

磯村勇斗

――ここからは仕事観を聞かせてください。そもそも俳優を目指したきっかけは?

小さい頃から映画を観ることが好きで、アニメのキャラクターの真似をしたり、何かになることが好きだったんですよ。そこからの派生もあるのかなと思います。

――“何かになること”が好きだったのなら、2015年の「仮面ライダーゴースト」への出演は念願でしたね。これまで壁にぶち当たったことはありましたか?

ありますよ。とある作品で監督さんから「なんだ、その芝居は!そうじゃなくてこうやれ」とダメ出しされて何テイクも重ね、悔しい思いをしたときがありました。僕は俳優に向いてないんじゃないかと落ち込んで、答えは見つからなかったんですけど、それでも歯を食いしばって進んでいこうと思った。そして、進んでいったら、監督からの叱咤はすべて愛があってのものだったということもわかったし、その言葉があったからこそまた新しい考え方ができるようにもなりました。壁にぶち当たったとしてもそれは今の自分にとって大切なことなので、思いきってぶつかるべきなんだと思いました。

――逆境には強いほうですか?それとも弱い?

多分強いです。負けず嫌いでプライドも高いので、目の前に壁があると絶対に壊してやろう。さらに、もう2、3枚ぶち破ってやろうというタイプです。

――頼もしいですね。お仕事をするうえで大事にしているのはどんなことですか?

作品づくりをする時にキャストもそうですけど、スタッフさんも含め、1人では完成しないということをすごく感じるので、皆さんへの感謝の気持ちを忘れずにやることが現場に行くうえで大事なことだと思っています。

 

舞台は「1人でやれ」と言われも絶対にできない

磯村勇斗

――そう思えるきっかけがあったんですか?

高2の時に、初めて舞台に立ってお客様の前でお芝居をしたんですけど、舞台というのは演出家さん、キャストさんとゼロから作り上げていく。劇場へ行くと装置や装飾を作る方がいて、もし「1人でやれ」と言われたら絶対にできないし、作品というのはみんなで作り上げてやっとお客様にお見せできるものが完成するということを初めて知った。なので、感謝の気持ちを大切にしなきゃと思いました。

――物語だけ完成していても、そこにチケットを売ってくださる人、劇場で案内してくださる人などもいないと成り立ちませんからね。では、今やりがいを感じていることは?

自分が考えてきたものを現場に持ち寄り、相手と空気を共有できた瞬間にやりがいを感じます。それがさらに広がってスタッフさんたちも巻き込んで同じ空間を楽しんだり、より集中できたり、そんな空気を感じられた時はなんともいえません。

 

流行り言葉もいいけれど、きちんとした言葉を大切にしたい

磯村勇斗

――役者さんならではですね。磯村さんもまだ若いですが、同年代の方や学生に伝えたいことはありますか?

若い人たちの間で流行ってる言葉があるじゃないですか。「マジ卍」とか。そういう言葉を聞くと、正しい日本語を使ってほしいなと思います。いつの時代も流行り言葉はありますし、それは時代の流れでいいと思うんですけど、ちゃんとした敬語や日本語を使える人が素敵な大人だと僕は思うので、今は流行ってる言葉を使って楽しんでいても、相応の年になったらきちんとした言葉遣いをしてほしいです。

――言葉を大切にするというのはお仕事にもつながっていますか?

以前、所属していた劇団は50歳以上の方も多く、僕の知らない難しい言葉をご存じだったり、皆さん言葉を大切にしていらっしゃいました。言葉を大切にすることはイコール、セリフを大切にすることにもつながるので、今もその思いが活きています。

――学生の頃から役者を志してきた磯村さんならではですね。最後に学生や同年代の皆さんへ夢を叶えるためのアドバイスをお願いします。

すでに夢をもっている方、もしくはこれから夢を見つけようという方もいると思うんですけど、まず自分のやりたいことが見つかったら実行に移してほしいです。例えば、俳優になりたいと思ってもすぐにドラマや映画に出演できるわけではない。じゃあ、出演するためにはどうしたらいいかを考え、今できることからやっていく。レッスンを受ける、オーディションを受ける――夢に近づくための方法を考えて着実に階段を登っていってほしいと思います。

 

■プロフィール
磯村勇斗(いそむら はやと)

1992年9月11日、静岡県生まれの25歳。多くのドラマや映画で活躍し、2015年に出演した「仮面ライダーゴースト」でアラン/仮面ライダーネクロムを演じ、注目をあびる。2017年にはNHK朝の連続テレビ小説「ひよっこ」で後に主人公の夫となるヒデ(前田秀俊役)に扮し、映画「覆面系ノイズ」(監督:三木康一郎)では劇中のバンドでCDデビューもはたした。

◆磯村勇斗 OFFICIAL SITE:http://blue-label.jp/management/hayato-isomura/
◆磯村勇斗 OFFICIAL BLOG:http://ameblo.jp/hayato-isomura/
◆磯村勇斗 OFFICIAL Twitter:@hayato_isomura
◆磯村勇斗 OFFICIAL Instagram:https://www.instagram.com/hayato_isomura/

 
編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
取材・文:荒垣信子

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