フリースタイルで日本一の高校生ラッパーを決める『BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権』の出場をきっかけに、その実力を大きく知らしめた”ちゃんみな”さん。最近はテレビ番組『櫻井・有吉 THE夜会』に出演するなどマルチに活躍する彼女も、現役の高校生です。今回は、そんな彼女の「ラッパーとしてのルーツ」や「過去のアルバイト経験」などについて幅広く聞いてみました。
日本人ラッパーと目指しているものもルーツも違う
――ちゃんみなさんが初めてラップに興味を持ったのはいつですか?
ちゃんみな:10歳の頃に聴いたBIGBANG さんの「Haru Haru」という曲のPVがきっかけです。実は当時、言葉の壁があって小学校でいじめを受けていたんです。韓国で生まれて、小さい頃から韓国と日本、アメリカを行き来していたのもあって、日本語がうまく話せなかったんです。それに対するストレスを解消するためによく「泣ける動画」を探していました。そんなときに偶然、YouTubeで「Haru Haru」のPVを観て「なんて格好いい音楽なんだ」と思い、自分でもラップを始めてみました。
――当時から歌うことは得意だったんですか?
ちゃんみな:“プロの歌手になること”がずっと私の夢でした。これはママから聞いた話ですが、私が3歳の頃、テレビの中で歌うピンクの衣装を着た女性アーティストを指差して、「私もああなりたい。ママ、歌手になっていい?」と言ったそうです。
それからママは、私にピアノとバイオリン、バレエを習わせてくれました。楽器は作曲の力や音感の良さを、バレエはリズム感や姿勢の良さを養ってくれました。一時期は、直接歌を習わせてくれないことに反発もしていました。でも、ママがそういう習い事をさせてくれたおかげで、今の私があると思います。ママはミソンって名前なんですけど、ミソンはすごいです(笑)。
――ここ半年間で他のどのラッパーよりも、知名度を上げた理由はなんだと思いますか?
ちゃんみな:うーん……、自分でこんなことを言うのも失礼かもしれないけど、「今までの日本人のラッパーと違う」ところだと思う。私は今もラッパーではなく、世界で通用するアーティストを目指しているつもりだし、自分の故郷でもある韓国を意識して音楽活動をしてきました。目標やルーツも違うから、そこが自分の魅力に繋がっているんだと思います。『高校生RAP選手権』の審査員の方々から「オリジナル性がある」と評価されたのも、そこじゃないかな。
16歳なのにまさかの店長に抜擢!?
――学生からラッパーが本業になりつつあるかもしれませんが、仕事をしていて「うれしかった瞬間」はどんなときですか?
ちゃんみな:家族がよろこんでくれたときですね。最近は岩手にいる祖父母や親戚がみんな集まって、私の出演したテレビ番組の鑑賞会を開いてくれたみたいです(笑)。
あと、パパもわざわざ私の曲を買うためにスマホに機種変しました。機械オンチのくせに。職場でも「これがうちの娘だよー」なんて、まわりの人に自慢しているみたいです。ちょっと恥ずかしいけど、パパの意外な一面を見れたので、うれしかったかな。
――普段はどんなことにお金を使いますか?
ちゃんみな:女性としてキレイであり続けたいので、髪やネイル、メイクアップを中心にお金を使っています。最近は映画や小説にも使ってるかな。あと、今年はバイト代を貯めてMacbookを買いました。もしまとまったお金があったら、音楽の機材が欲しいなぁと思っています。
――ラッパーとして活躍する前は、アルバイトをしていたんですよね?
ちゃんみな:高校1年の時から喫茶店と居酒屋のバイトをしていました。居酒屋のほうは一応今でも続けてます。なかなかシフトには入れないんですけど。喫茶店では、なぜかオーナーに気に入られて店長の仕事まで任されていましたね。
――えええっ!
ちゃんみな:当時16歳なのに、売上管理とかをやっていましたよ(笑)。私はなにかやろうとすると、どうしても極めたくなる性格なんです。一生懸命働いた後、上司やバイトの先輩から「ちゃんみなはできるヤツだな!」って言われると、いつもうれしくなりますね。
自分が楽しめる仕事を見つけるのが大事
――アルバイトが自身の音楽活動に活きたこともありますか?
ちゃんみな:人生全般に活きてくると思います。少なくともバイトを経験しなければ、学べなかったことや得られなかった人間関係があります。学校では関われないような大人たちとも出会えますし、まちがいなく世界は広がりますね。
――バイト選びで迷っている同世代には、どんなアドバイスをしますか?
ちゃんみな:まず自分が興味のある仕事を探してみるといいと思います。そこでやってみて楽しかったら続ければいいし、楽しくないならやめて、また新しい仕事を見つければいいと思う。
――具体的な夢や目標などが見つからず、「やりたいことがないひと」はどうしたらいいと思いますか?
ちゃんみな:なんでもいいから「自分はなにが好きなのか」を真剣に考えてみればいいんじゃないかな。以前、同じような悩みを持つ大学生から相談されたことがあります。そこで彼に「なにが好きなの?」と聞いてみたら、「スマホゲームが好き」って。「じゃあ、それを他の誰にも負けないくらいがんばってみたら」と言ったら、彼はそれを実践して、最終的にはゲーム会社に就職したんですよ。私も好きなことを追いかけて、アーティストとしてデビューできました。夢や目標を見つけられていない人は、どんな小さなことでもいいから、自分の好きなものを突き詰めていくといいと思います。
――最後に、ちゃんみなさんの今の「夢」は?
ちゃんみな:日本でも韓国でも活動できるような、グローバルなアーティストになりたいです。あと、一生かかってもいいから、いつか自分のオーケストラを作りたいです。いつも音楽を感じていたいんです。それと、人生を変えてくれたBIGBANGさんに私の曲を聴いてもらうこと。いい曲を作って、いつか憧れの人たちにも届いたらうれしいな。
日本語、韓国語、英語を話すトリリンガルJKラッパー/シンガー“ちゃんみな”(18歳)。
父親が日本人、母親が韓国人の韓国生まれ。3歳から東京で育ち、ピアノやバレエを習い、小学生でHIP HOP、JAZZ、GIRLSなどのダンスをはじめ、振り付けなども担当するほどの才能を発揮。中学生のときに歌を、高校生になってから作曲とラップをはじめる。
彼女が一躍脚光を浴びたのは、“BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権”の第9回大会への出場。ベスト8で敗退するものの、類いまれなるラップスキルと、観客を魅了するキャラクターで注目を集める。
2016年4月に配信リリースした「未成年 feat. めっし」は、iTunes HIP HOPチャート1位を獲得。11月4日にリリースした配信シングル、TeddyLoid『ダイキライ feat. ちゃんみな』で客演を果たす。
TeddyLoid『ダイキライ feat. ちゃんみな』
★YouTube「ちゃんみな official」
https://www.youtube.com/channel/UCRdeBjOVfEnrBg3_uspLmPg
★Twitter
https://twitter.com/chanmina1014
取材・構成・文/紐野義貴 撮影/Makoto Tsuruta