カレー専門チェーンの「カレーハウスCoCo壱番屋」では、長年に渡り「接客コンテスト」を開催しています。一時、開催を休止したものの、2年前に復活。復活から2回目となった平成29年のコンテスト優勝者が、JR飯田橋駅西口店の松村香奈さんです。子育てをしながら働くワーキングマザーでもある松村さんに、接客という仕事のやりがいやモットーなどを伺いました。
全国の強豪が揃ったコンテストでも、”いつもの接客“を忠実に

――「カレーハウスCoCo壱番屋」で働くようになったきっかけを教えてください。
子どもが幼稚園に入ったタイミングで社会復帰しようと、アルバイト情報誌を見たのがきっかけです。さまざまな職種を受けましたが、持っている資格や経歴が評価されずに、“子どもがいる”というだけで不採用になりました。そんな中、壱番屋の求人には「家族優先で働けます」とあったので、すぐにお電話しました。現在、壱番屋に勤務して7年目です。
――全国接客コンテストでは、どんな審査がされるのですか?
コンテスト会場のステージ上に店舗が作られ、お客様役の方が来店。わたしたちは、普段通りに商品を提供し、その様子が審査されます。お客様役の方からリクエストや質問もあり、それらに的確に答えられるかも評価の対象のようでした。
――大勢の人に見られながら接客するとは…。やはり、緊張しましたか?
それはもう! 特に、全国大会の参加者は、いい意味で強者ぞろい。地区大会の優勝者10名が集結したのですが、明るくて朗らかで、魅力的な人ばかり。かなり圧倒されましたが、「ダメで元々、楽しもう!」と気持ちを切り替えました。舞台に立った時は「ここは、JR飯田橋駅西口店、うちのお店…」と自分に言い聞かせて(笑)、普段の接客を心がけました。
壱番屋の「ニコ・キビ・ハキ」を意識して、親しみのある接客を

――ハイレベルなメンバーの中でナンバーワンに輝いたわけですが、松村さんの接客に対するポリシーやモットーは何ですか?
壱番屋の社是は「ニコニコ・キビキビ・ハキハキ」。いつもニコニコ笑顔で、キビキビと動き、ハキハキと受け答えする、というものです。基本中の基本ですが「ニコ・キビ・ハキ」は、しっかり意識しています。それから、楽しんでお客様と接したい、という気持ちも常にあります。
飯田橋はオフィス街なので、ランチタイムで訪れる方が大多数です。お客様の貴重なランチタイムですから、おいしくて満足いただけるカレーを、いかに早く提供できるかが大事。でも、早く提供するだけでなく、また来ていただけるように「いつも、ありがとうございます」と親しみのあるあいさつも心がけています。
――常連さんとのやりとりで印象に残っているエピソードはありますか?
子どもの夏休みや冬休みに合わせて長期のお休みをいただいて、復帰した時に「待ってたよ」と声をかけてもらったことです。実はわたし…、根は暗いタイプなんです(笑)。でも、お客様とのやりとりが本当に楽しくて、お客様から元気をもらっている気がします。いただいた元気を還元するつもりでお客様に接したい。それが、モットーというか、私の存在意義なのかなと思っています。
アルバイトは、社会で働く上でのマナーや心構えが身に付く

――学生のアルバイトさんを指導されることもありますか?
もちろん、あります。でも、お客様との接し方というより、社会で働く上でのマナーや心構えを伝えることが多いですね。失敗したら「ごめんなさい」と謝るとか、何かしてもらったら「ありがとうございます」と伝えるとか…。学生さんが社会人になる前に、何か残してあげたいなと思いながら接しています。
――接客日本一の松村さんの言葉なら、皆さん、納得するのでは?
いえいえ、そこに甘んじてはいけないと思っています。率先して行動して、説得力だけは欠かさないように、努力しているつもりです。
アルバイトデビューしたばかりの学生さんは、仕事に積極的にはなれなくて当たり前。でも「その笑顔、いいよ!」と、ちょっとしたことを褒めてあげると、変わろうとしてくれる子も多いんです。前向きに仕事に向き合える子は、社会に出ても力強く歩んでいけるような気がしますね。

――最後に、バイトをしているからこそ身につくスキルやバイトで得られることってなんでしょうか。
接客業のアルバイトをすると、身だしなみを正すこと、そして爽やかにコミュニケーションすることの大切さが学べると思います。それから、接客業はお客様を観察することがとても大事です。例えば、お客様から「すみません」と声をかけられる前に反応できるかどうかは、とても重要。仕事にきちんと向き合えば、“状況を把握するスキル”が身に付きます。これは、社会に出た時に大きな武器になるのではないでしょうか。
まとめ

松村さんの「お客様からもらった元気を還元したい」という言葉から、接客とは決して、一方通行ではないことを教えられました。また、「社会人の先輩として、学生アルバイトさんに何かを残してあげたい」という言葉も印象的です。愛があふれる彼女の人柄が、接客コンテスト優勝に導いたのかもしれません。
取材・構成・文:石上直美(verb)
撮影:中山実華
取材撮影協力:「カレーハウスCoCo壱番屋(http://www.ichibanya.co.jp/)JR飯田橋駅西口店」
写真提供:株式会社スカイスクレイパー(http://sky-scraper.jp)
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