日本人女性初プロゲーマーが目指す、プレ-ヤーとしての成長とジャンルの繁栄。「どっちも貪欲に突き詰めたい」

 

女性で格闘ゲームといえば、日本人女性初プロゲーマーとして前例のない世界を切り開いた、チョコブランカさん。プレーヤーとして自らのさらなる可能性に挑戦しながら、同時に、後に続く人たちのためにeスポーツ(エレクトニック・スポーツ)の繁栄にも意欲的に取り組む。そのパワフルな生き方について、お話をお伺いしました。

海外の企業に彼(ももち)を売り込んでいたら、私も一緒にスカウトされました

 

――最近では、憧れの職業にプロゲーマーを挙げる若者も増えてきていますが、いったいどうすればなれますか?

私がプロゲーマーになったのは2011年7月で、日本におけるプロゲーマーの出始めの頃です。プロゲーマーという職業自体、まだ新しいため、どうすればなれるという決まった形はありません。私はスカウトされたことでプロになれました。

――スカウトされるなんて、凄いですね。

もちろん、ただ何もしないでスカウトされたわけではありません。当時、後に結婚して夫となるゲーマーのももちと付き合っていました。彼はゲームが強くて、人間的に真面目でストイック。1ファンとして彼の才能に心底ほれ込んだのです。そこで、彼をプロゲーマーにするために一生懸命バックアップしようと。

――もともとは自分ではなく、ももちさんの売り込みだったということですか?

はい。そこで、海外の企業にメールで売り込む、海外の人の目に止まるように英語のブログを始める、海外の大会に出場した際は会場にいる企業の担当者に直談判をするなど、あらゆることをやりました。すると、アメリカのプロゲーミングチームの「Evil Geniuses(イービル ジーニアス)」がももちとプロ契約を結んでくれたのです。さらに、私も一緒にどうかと熱心に誘ってもらい、2人揃ってプロになれました。

――大切なのは、まず自身をアピールするということでしょうか。

いまは個人でも、自宅からゲームの生配信ができる時代です。いろんな大会に参加して実績を作ったり、ネットなどを使って自分を積極的にアピールしていく。ゲームの実力と発信力。それが、これからの時代には欠かせません。

朝9時から夜9時まで会社の仕事をして、それから深夜にかけてゲームの練習

 

――自らゲームの会社を経営されており、アスリート以外の仕事も盛りだくさんですね。

日によって多少違いますが、私の場合、だいたい朝9時から夜10時くらいまで会社の仕事をして、それからゲームの練習です。そして、寝るのは深夜1時とか2時。3時になったりすると、「やばい、寝なきゃ!」という感じですね。ももちの場合は私とは逆に、選手活動をメインに行っているので、練習の比重の方が大きいですね。

――会社の取り組みとしては、どんなことをされていますか?

ゲームの普及とコミュニティを広げるために、年に数回、自社主催のイベントを運営したり、メーカーさんからの依頼でイベントの企画や運営を請け負ったりもしています。あと、プロチームの運営も行っており、所属選手のマネジメントもそうです。スタッフもゲームが好きなスタッフばかりなので、マネジメントやイベント運営を全力でサポートしてくれています。

――登録している選手の数はどれくらいですか?

30名ほど所属しています。いろんなゲームのジャンルの人がいて、大きく、ストリートファイターのチームの「不動-Fudoh-」。スプラトゥーンをメインに行う女性チームの「花鳥風月-Kacho-Fugetsu-」。そして、選手・ストリーマー・キャスターの人たちに分かれます。

日本のeスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)は遅れている?

 

――複数のプレーヤーが対戦するコンピューターゲームを、スポーツと捉えるeスポーツ。日本は海外に比べて普及が遅れていると言われますが、何が原因だと思われますか?

あくまで私の感覚的なものですが、例えば、アメリカだと誰かがeスポーツを始めるとすると、まわりのみんなが応援してくれるんですよね。そして、一緒になって楽しむ。そんな、エンターテイメントを楽しむ土壌があります。

――eスポーツに対する捉え方の違いがあるのでしょうか?

日本は、ゲームを競技として捉えている人達はごく一部で多くの人にとってゲームは「楽しいから遊ぶ」ものです。eスポーツが盛んなアメリカ、中国、韓国といった国では、エンターテイメント性もありつつ、競技として純粋にお金のためにやる人も多いのです。アメリカだと小さな大会にも賞金が出て、参加する以上はみんな自分が優勝するつもりでいます。

みんなでジャンルを作り上げている真っ只中。だから、可能性も無限大

 

――プロゲーマーの収入源は、大会の賞金やTV出演などが主なものでしょうか。

人それぞれだと思います。以前、私が所属していたチームは、給料があって、海外渡航費やホテル代も負担してくれて、大会で勝てば賞金がボーナスとして入る。そんな感じでしたね。あと、メディアに出演した際の収入がそこにプラスされます。最近ではYouTubeで映像発信をして広告収入を得る人も増えてきているようです。

――収入源が広がってきているわけですね。

もともとゲームの大会はゲームセンターなどで開催され、賞金はなく、みな名誉のために戦う。そんなふうに始まったものが、徐々に規模が大きくなって、観客も増えてスポンサーも付くようになり、現在のように大きな大会へ発展してきました。ネットで大会を生配信する文化も根づいてきており、視聴者も増えて、注目度もアップ。そのため、大会を支援してくださる企業にも参入メリットができてきましたので、ジャンルが繁栄する可能性は、確実に高まってきています。まさに、みんなでジャンルを作り上げている真っ只中です。可能性も無限大にしていきたいですね。

先人から受け継いだゲーム文化を発展させながら、次の世代へつなげていく

 

――希望と可能性の大きなジャンルですね。

これは何もゲームの世界だけに限ったことではありませんが、どんなジャンルでもスター選手が生まれれば、それに憧れる人たちが集まって業界が活性化してきます。そのためにも、まずはゲームに触れて、楽しさを知ってもらうことです。わが社では年に数回、参加費無料の大会を開催しており、また練習場所としてスタジオを無料開放する時間も設けています。あと、地方の活性化にも力を入れ、いろんな県でゲームの無料イベントを開いています。こうして、ゲームという世界のすそ野を広げることに意欲的に取り組んでいます。

――所属選手の中には小学生もいるとか。

はい。小学生の所属選手の一人は、ゲームを楽しみながら高い情熱をもってプレイをしており、大人たちの中でも遜色なく戦い、活躍しています。そんな彼は「世界一有名なゲーマーになりたい」という夢を語っています。そんな彼らの情熱を応援したい。彼らの活躍の場をもっと広げてあげたい。そんな気持ちで彼らをサポートしています。

――今後の展望を教えてください。

私と夫のももちは、最初に「Evil Geniuses」というチームでプロになり、次に2017年1月に「Echo Fox(エコー フォックス)」というチームに移籍。さらに、2018年10月で契約を終了し、私たちの新たな挑戦として、個人契約でスポンサー企業様と契約を結びました。現在のeスポーツも、さかのぼれば先人たちがゲームセンターの中で築き上げたゲーム文化を、いまに引き継いだものです。今度は私たちが、プロゲーマーをみんなが憧れる夢のある職業へとしっかり育てていく。もちろん、自身のプレーヤーとして成長も、いま以上に追求していきます。そう。どちらも貪欲に突き詰めていきたいですね。

 

【プロフィール】
チョコブランカ(本名 百地裕子)
1986年7月28日、兵庫県生まれ。愛知の中京大学・体育学部に入学し、陸上部で投てきに励む。車が好きで、自動車メーカーのディーラーに就職するが、大学4年時にはまったゲームの世界に飛び込むために退社。2011年7月に日本人女性初のプロゲーマーとなり、一躍、時の人に。㈱忍ism取締役としてゲーム業界の発展に尽力しながら、現役のゲーマーとしても頂を目指す。サブカル好きな一面もある。

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