「熊本の奇跡」と呼ばれ、話題の“つぶら”さんをご存知でしょうか。モデルとして活躍し、アイドルオーディション「ミスiD2018」では実行委員長特別賞を受賞。最近は好きな音楽を仕事に活かして、DJとしても活動しています。さまざまなことに挑戦を続けるつぶらさんですが、かつては人付き合いが苦手だったという一面も。今回は「好きなことを仕事にする生き方」についてインタビューしました。
人と接するのが面倒だった学生時代
――ミスiDでは「私は“ぼっち”の音楽ヲタクです」と自己紹介されていましたが、小さいころはどんな子どもでしたか?
昔から人見知りでしたね。中高生のころは基本的にひとりで行動しているか、ちょっと仲良い子と一緒にいるくらい。とくに高校1~2年生のときは中二病をこじらせていて、「ひとりが良い!」という感じでした。
――自分から単独行動を選んでいた?
そうですね、友達もそんなにはいらないと思っていました。高校を卒業してからは2年間フリーターだったんですが、毎日朝から晩までバイトをしていて、ライブに行くことだけが当時の生きがいでした。
――昔から音楽が好きだったのでしょうか?
最初のきっかけは保育園のころ。送り迎えの車の中で、母親がかけていた忌野清志郎さんの曲が大好きになったこと。そして、中学生のときに「SCHOOL OF LOCK!」(Tokyo FM)というラジオでRADWIMPSさんの曲を聞いて、そこから音楽にのめり込みはじめました。
ひとりを好みながらも、みんなから愛される存在への憧れもあった
――つぶらさんと言えば黒髪ショートカットのイメージですが、このスタイルはいつから?
高校時代は髪も長くて、ツインテールにしたりしていたんです。アイドルグループのでんぱ組.incさんにハマって「ねむきゅん(夢眠ねむさん)みたいになりたい」と思ってからは、ボブくらいまで短く切りました。その後は、もがちゃん(最上もがさん)に憧れ、さらに短く金髪に染めたことも(笑)。最近、やっと黒髪ショートのスタイルに落ち着きました。
――アイドルに対しての憧れもあったのでしょうか?
一時期はありましたね。高校生の時はAKB48さんとかも好きでした。「キラキラしていて、自分と真逆だな。羨ましいな」って。
――「人付き合いが煩わしい」と思う一方で、キラキラして見えたアイドルへの憧れもあったんですね。
そうですね。モデルの仕事を始めたきっかけも、アイドルに憧れた気持ちからでした。Twitterでアパレルショップがモデル募集をしていたのを見て、思い切ってチャレンジしたんです。できあがった写真を見て、「私にも、こんなこともできるんだ!」って思いましたね。
自分の好きなことだからこそ、積極的に挑戦できる
――現在では、モデルとともにDJ活動もしています。DJを始めたきっかけは?
頻繁にライブに通うようになってからは、「何らかの形で音楽に関わる仕事がしたい」と思っていました。そんなときにDJというものがあることを知って。自分で音楽をやるのも違うなと感じていたのもあって、「私がやりたいことにぴったりではないか」と思ったんです。
――「好きなことを仕事にして良かった」と思うことは?
自分の好きなことだから、やらされているわけではありません。だからこそ、積極的に挑戦できることでしょうか。DJはほとんど独学で勉強したので、最初は本当に何もわからなくてキツかったんです。全然会場を盛り上げられないし、お客さんも「シーン」みたいな……(笑)。でも、「ずっと音楽を聴いてきたのに、全然お客さんのことをわかってなくて悔しい! 次は絶対会場を沸かせてやろう!」って思えましたね。
――音楽に対する、つぶらさんのプライドですね。
まだライブ経験が少ないので、これからですけどね。最近はプレイ中に盛り上がってくれるようにもなって、ライブ後に「めっちゃよかったです」って声をかけてもらえるようになりました。褒められるとすごくうれしいです(笑)。
――DJというと、人と接する場面が多い仕事だと思います。ひとりでいる方がラクだったつぶらさんにとって、負担ではありませんでしたか?
ひとりが好きだったのは、気の合う仲間が少なかっただけだと気づきましたね。ライブハウスは同じ音楽好きが集まっているから、居心地がよかったんです。Twitterのフォロワーさんにも音楽やライブ好きの方が多くて、今は居心地の良さを感じています。
自分の「やりたい」という気持ちを大切にしてほしい
――今後やってみたい仕事はありますか?
モデルやDJを中心に活動していきたいですが、自分にできることはいろいろやっていきたいです。PVにも出てみたいですね。
――高校生の時のモデルへの応募から、ミスiDへのエントリーなど自分がやりたいことにどんどん挑戦している印象です。自分の「やりたい」という気持ちに従って、後悔したことはありませんでしたか?
とくにないですね。むしろ、そのおかげでうまくいっていると思っています。だから、今後の仕事も自分が「やりたい」と思うことにチャレンジしていきたいです。とりあえず、今が楽しければ良いので。
――それでは最後に、つぶらさんと同年代でもある大学生の中には、なかなかやりたい事に一歩踏み出せない人もいると思います。そんな人たちに向けてメッセージをお願いします。
自分の好きなことでも生きていけるので、世間体に流されなくても良いと思います。周りに流される形で就職をするよりも、自分の好きなことをした方が良いです! 自分で決めたことなら積極的に行動できるので、まずは自分のやりたいという気持ちに従ってみてほしいですね。
2017年夏、初グラビアが反響を呼び、「熊本の奇跡」と話題に。「ミスiD2018 実行委員長特別賞」受賞。現在はモデル、DJとして活躍中。
文:ヒガキユウカ 撮影:安井信介