アーティスト・沼倉愛美インタビュー『フィールドの違う人たちとの出会いが、今の表現活動に生かされてる』

沼倉愛美 声優 アーティスト インタビュー フロム・エー FromA
アーティスト・声優・役者と幅広く活躍する沼倉愛美さんに、初めてのバイトから、現在の役作りにも役立っているというカフェでのバイトなど貴重なお話をお伺いしました。さらに、現在アニメ『かくりよの宿飯』のエンディングテーマとしても放送中の、新曲「彩-color-」の制作エピソードについてもインタビュー!

“自立”は、たくさんの人の支えがあってこそできるものだと気付いた

――新曲「彩-color-」は、アニメ『かくりよの宿飯』のエンディングテーマですが、どんな思いで作られましたか?

まず何より、アニメ『かくりよの宿飯』の世界観を表現するというのが大前提としてあったので、主人公・葵ちゃんの心情とリンクすることを意識しつつ、その中で、私の気持ちや言葉を表現させていただきました。

――タイトルにもある“彩”という言葉に込めた思いは?

主人公が“かくりよ”という異世界に迷い込んで様々なあやかしと出会い、そこでイチから関係を築いていくことで、自分の居場所を作っていくというお話なんですが、それは現実の世界でもあることだと思うんです。例えば、学年が上がった時、入学した時、就職した時……そういう誰もが共感しやすい状況を描いてみようと思っていました。いろいろな人と関わることで、心が豊かになる、それが“彩られてく心”“彩りがふえてく心”という歌詞にも表れていると思います。

――アニメの世界観と現実へのメッセージがリンクしていますね。

私自身、昨年、初めてのライブツアーをさせていただいたんですけど、その時に、ホントに多くの人に支えられていることを知ったんです。自分のために動いてくれている人が見えないところにもたくさんいてくださるのは、わかっていたつもりだったんですけど、改めてハッとさせられて。そこで感じたのが“支えられていることで、自立することができる”っていうことだったんです。逆説かもしれないですけど、自立することと独りということとは違うんだなと。それを歌詞にできればいいなという思いがありました。“私に居場所をくれた糸”という歌詞は、まさにその思いが表現された部分だと思います。

日常の中に溶け込めるシングルになったと思っています!

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――そしてC/W「RELOAD」、「Chackmate」はそれぞれテイストの違う作品ですね。

今までのシングル曲やアルバムの表題曲はどちらかというと、わりとガツっとした男勝りな曲が多かったんですけど、今回は優しさや柔らかさ、艶っぽさがあり、疾走感や勢いもある、オールマイティな要素が入っている楽曲なので、C/Wではちょっとピンポイントなテイストを入れていってもいいかなと思って、R&Bテイストの「RELOAD」、スカテイストの「Chackmate」を収録しました。

――C/Wも含め、この1枚をどんなふうに聴いてほしいですか?

BGMにしてもらうのがいいのかなと思います。印象的でキャッチーな音たちなんですけど、日常に溶け込んでくれると思うんですよね。お家で掃除しながら、好きなことしながら、何気なく聴いていただける1枚になったと思っています。日常の中でぜひ。

ラーメン屋でのバイトは、メニューを覚えるのに苦労しました

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――では、ここからは沼倉さんのアルバイト経験を伺いたいと思います。

まず、ラーメン屋さん。その後は、靴屋さん、カフェでもアルバイトしました。ラーメン屋さんは高校1年生の時ですね。そのお店に友だちが先に働いていて紹介してくれたので始めました。それにラーメンは好きで、賄いも出るし、いいなと思って(笑)。

――初めてのバイトで大変だったことも?

たくさんのメニューを覚えるのが大変でした。醤油ラーメンひとつをとっても、ネギなのか、チャーシューなのか、ネギチャーシューなのか(笑)。間違ってはいけないので、慣れるまでは何回か失敗もしました。でも、一つ一つ覚えてそこを乗り越えたら、楽しかったですね。忙しいながらも活気があるお店だったので。

――どれくらいの期間されていたんですか?

そのラーメン屋さんは1年ぐらいです。少人数で回していたお店なので、土日に出るのはマストだったんですけど、学生時時代にお休みがなくなってしまうのはちょっと厳しいなぁと思って。なので次は、わりと大きな靴屋さんでアルバイトすることにしたんです。自宅からも近いお店だったので(笑)。そこではスニーカーの担当をしていました。

接客で相手に喜んでもらえたときは“役に立てた”と思えてうれしかった

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――靴屋さんも覚えることがたくさんありそうですね。

ありましたね。まずブランドを覚えること。あとは、その時その時の押しの商品があるので、その商品の情報はまず頭に入れていました。迷っている方がいたらすぐにオススメできるように。毎回、情報は変わっていくので、ちょっと大変ではありましたけど。あとは、セールの時期に店内放送を担当したこともありました。けっこう緊張していたんですけど、“どれだけ噛まずにいえるか?”っていうのは、滑舌の練習の意味も込めて、自分の中での戦いでした(笑)。

――当時、印象に残っているエピソードはありますか?

子ども靴も取り扱っていて、新米ママさんがいらっしゃったんですけど、子どもってすぐに大きくなってしまうので、少し大きめの靴が欲しくなるんですよね。でも、大きすぎてもケガのもとになるので、ちょうどいいものを探すお手伝いをしたら、すごく喜んでくれて。“役に立てたな”って思えた時は嬉しかったですね。

――そして、その後はカフェでのアルバイトも経験されているそうですね。

はい。高校卒業してからは事務所に預かりの形で入っていたんですけど、その頃にひとり暮らしをするようになったので、生活費のためにバイトをしていました。ひとり暮らしだったので、できれば賄いがあるほうがいいなと思って、カフェを選びました。

――カフェでバイトをする頃には、接客業も得意になっていたのでしょうか?

得意とまでは言えないんですけど、だいぶ慣れてはいました。そのカフェはテイクアウトが多かったので“レジ打ちをいかに早く正確にするか”ということと、“そのうえで、お客様に対してきちんと対応できるか”みたいなところは意識していましたし、自分に課していた感じですね(笑)。

失敗を重ねて、対応力をつけることも大切なことだと思う

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――アルバイトをしたことで、その後の自分にとってプラスになったと思えることはありますか?

どれだけ頑張っていても、慣れていたとしても、予期せぬアクシデントだったり、予想していなかったことは起こるものなので、それをフォローしたり、リカバリーする対応力みたいなものはついたんじゃないかと思います。誰でもそうだと思うんですけど、失敗はつきものだと思うんです。でも、その失敗をアルバイトのうちに経験して、その積み重ねを強みにできるっていうのは大きいんじゃないかと思います。

――確かにそうですね。小さなミスを経験しておくことで、謝ることの必要性とか、物事の理解にもつながりますよね。

やっぱり失敗しないとわからないこともあるので。もちろん失敗しないのが一番なんですけど(笑)。

――ちなみにですが、沼倉さんもバイトで怒られた経験はありますか?

そうですね。ラーメン屋でバイトしていた頃に、お料理を出す順番を間違えてしまったことがあって、お客様を待たせてしまった時に、店長にお客様の前で怒られたんです。その時は、ただただ申し訳なく思っていたんですけど、あとでお客様の前で私を叱ることで、私自身をかばってもらっていたことに気づきました。そういう優しさに触れられたのも、社会に出たからこそだと思います。

自分とは違う世界で生きている人たちと触れられた経験は貴重でした

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――全部のバイトを通して、好きな作業はありましたか?

カフェではパンも売っていたので、空いている時間を使ってパンを入れやすくするために袋の口を開いておくんですけど、その時間は好きでしたね。何も考えずに、黙々と作業するのが好きでした(笑)。

――では、最後に。バイトでの出会いが今につながっていると思えることはありますか?

カフェの時はとくに、大学生のバイトさんが多かったんです。私は大学に通わなかったので、そういう世界に生きている人たちと触れ合えたというのは、大きかったですね。役者をやっていると日常を演じる機会がすごく多いんですけど、その日常のリアル感は体験していないとなかなかわからないので……。大学生と接することで、その雰囲気とか日々の生活を知ることができました。やっぱり、何事も経験だと思うんです。とくにバイトだと、自分が今いるフィールドとは違う人たちと触れ合えるので、視野がグッと広がると思うんですよね。私自身、間違いなく今の表現活動に生かされてると思います。

■Profile
沼倉愛美(ぬまくら まなみ)

2016年10月新作TVアニメ「魔法少女育成計画」OPテーマ「叫べ」で満を持してデビュー!「THE IDOLM@STER」我那覇響役や「蒼き鋼のアルペジオ ‐アルス・ノヴァ-」タカオ役で注目を浴びる。その演技力はもちろんのこと、卓越した歌唱力とダンスは高いポテンシャルを持つ。代表作は「新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION(男鹿アキタ)」「SHOW BY ROCK!!(レトリー)」「アルスラーン戦記(アルフリード)」。

OFFICIAL SITEhttp://numakuramanami.com
OFFICIAL Twitter@numakura_manami

企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影:内藤恵美 取材・文:田部井徹

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