俳優・松尾太陽さんインタビュー「仕事に正解はないから悩むことが今、楽しい」

超特急 松尾太陽

超特急のバックボーカル・タカシとしても活躍中の松尾太陽さん。最近では俳優活動も行い、現在、dTV ×FOD共同製作ドラマ「花にけだもの」で“けだもの男子”のひとりであるクールでミステリアスな千隼役として出演中。“けだもの男子”って何? という話から、実はもともとアーティストではなく、俳優になりたかったという松尾さんの仕事観や知られざる一面までを紹介します。

 

まさかのスカウトに「これはチャンスだ!」と思いました

松尾太陽

――松尾さんは超特急のボーカルとして活動中ですが、もともとは俳優志望だったそうですね。

そうなんです。俳優に興味を持ち始めたのは小学4年生ぐらいの頃。新聞の広告欄に芸能プロダクションや劇団の広告が掲載されていて、僕もここに入ったら芸能人になれるのかな、なんて思っていたんです。それから広告を見る度に自分もなってみたいという憧れが出てきましたが、お金もかかりそうだし…と考えて具体的な行動は起こさなかったんです。そうしたら、小学6年生のときにスカウトされまして。

――これはやるしかない! と思ったわけですね。

まさにそれです! このチャンスを逃すわけにはいかないと思い事務所に所属して、演技レッスンに通うなどして活動をはじめました。ただ、なかなか演技をするお仕事もなく、ひたすらレッスンに励む日々。「僕、このままで大丈夫なんだろうか…」と思っていたときに、音楽グループのオーディションの話がきたんです。それで、オーディションで合格して、超特急のメンバーに決まりましたが、ボーカル担当になって。それまで本格的に歌ったことなんてないし、そもそも俳優になりたいんだから自分が目指しているのはそこじゃないし、と実は葛藤もありました。

 

俳優志望の自分に超特急の話が…。葛藤の中、答えを出した

松尾太陽

――葛藤しながらも、超特急に参加したのはなぜでしょうか?

ひとつしか強みがないより、2つあったほうがこれから芸能界で活動するのなら強いんじゃないかと考え方を変えたんです。俳優志望だからそれ以外のことをやらない、と頑なになるより、歌も歌えるし演技もできるほうが今後、プラスになるなと考えをシフトチェンジしました。

――視野を広げたんですね。でも、正直、興味のないことをやると「やらされている」感じになってしまい嫌になったことはなかったですか?

歌もダンスも初めてでしたから、レッスンやレコーディングは本当に大変で落ち込むことはありました。でも、嫌になることはなかったですね。アーティスト活動は俳優の仕事では経験できなかったことがたくさん学べたので。

――そして超特急の活動が5年目に入った今、少しずつ俳優のお仕事も増えてきましたね。

本当にありがたいですし、嬉しいです。最近のお仕事ではドラマ『花にけだもの』でクールな“けだもの男子”和泉千隼を演じています。

――“けだもの男子”ってすごいジャンルですけど、どんなけだものっぷりなんですか!!

僕も最初、聞いたときは「なんだそれ!?」って(笑)。最近「○○男子」という言葉が流行っていますけど、また新しいジャンルがきた!と思いました。ちなみに、このドラマでの“けだもの男子”の定義は「女の子に優しい」「強引で男らしい」「好きな子の前だけ素直」です。

――想像していた“けだもの男子”と違ってホッとしました(笑)。その定義、すごく女の子にモテるタイプじゃないですか!

ドラマでは3人、3タイプの“けだもの男子”が登場するんですけど、僕が演じる千隼は無口でクールだけど好きな女の子を優しく見守る性格。ガツガツせずに、余裕のある感じを出せるように演じています。千隼は自分の性格と真逆すぎて、憧れるタイプです。

――演じながら自分の役に憧れちゃっているんですね(笑)。ドラマはキュンキュンシーンが満載で、千隼がヒロインに「もっと甘えろよ」というセリフがありますが、松尾さん自身は女の子に甘えてほしいタイプですか? 

甘えてほしいですね。もし、甘えられずに無理をしているのであれば、無理をしてほしくないし、困っているなら助けたい。だから素直に甘えてくれる女性がいいです。男性でも女性でも正直な人が好きですね。

――松尾さんが思う正直とはなんでしょうか?

自分にウソをつかないで、正直な気持ちで動くことです。そのほうがいい方向に進んでいけると思うので。たとえば今、フロムエーでアルバイトや仕事を探そうかなと思ったときに、「この仕事は経験がないから無理かも」とか「年上の人が多そうなバイト先だからうまくできないかも」とか、やる前にいろいろ考えるより、正直に「やりたい」という気持ちだけで飛び込んだほうが、いろいろうまくいく気がするんです。やりたいのにやらないのはもどかしくて嫌だから、自分に正直になって動いたほうがいいなって。

――松尾さん自身が正直に動いてよかったと感じるエピソードはありますか?

僕自身も歌うつもりじゃなかったのに「やってみよう」と素直に飛び込んだことで、当時は想像もつかなかった仕事ができています。自分の経験があるからこそ、みなさんにも伝えたいんです。ホント、未来って何が起こるかわからない。だから楽しいんですけど。

 

仕事で「悩んでいるとき」が一番楽しい!

松尾太陽

――今、お仕事で楽しいと感じるときはどんなときですか?

悩んでいるときですね。

――えっ! 悩むのと楽しいは真逆の感情だと思いますけど…。

仕事をしていると悩むことがたくさんありますよね。今であれば、千隼をどう演じればいいか、どう動けばいいかと常に悩んでいるし。でも、答えはないんです。悩んだ結果、こう演技しようと思うけれど、それは個人的な見解であり答えではないですよね。だから、楽しいんです。正解がないから、何でもできる。分かりやすいゴールがあるとつまらないじゃないですか! 

確かに悩んでいるときは嫌になることもありますけど、その嫌になるのも含めて楽しいというか。悩みながらも、新しいものを追い求められる状況を楽しんでいるんです。

――今、高校生の役を演じていらっしゃいますが、松尾さん自身は高校生のときアルバイトをした経験はあります?

それがないんですよね。僕、カフェでアルバイトをしてみたくて。カフェというか古い喫茶店がいいな。マスターがミルでコーヒー豆をガリガリ挽いているようなお店に憧れるんです。僕も白シャツに黒いエプロンをしてガリガリやってみたい!

 

■プロフィール
松尾太陽(まつお・たかし)

1996年9月23日生まれ、大阪府出身。2010年映画『大奥』で映画初出演。2011年、超特急のバックボーカル・タカシとして活動中。2017年には映画『一週間フレンズ』『一礼して、キス』(11月11日公開)に出演し俳優としても活躍している。

撮影・文:中屋麻依子 撮影:塩谷哲平(t.cube)

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