外国人から「日本で働く・暮らす」って、実のところ、どのように見られているのでしょうか?そこで、フロムエーしよでは、さまざまな外国の方から見た日本をご紹介していきます。第7弾は、トルコ出身の「Gökhan(ゴクハン)」さんです。
日本での飲み会は、本当に楽しくて賑やか!
――あなたが日本で経験したバイトはどういったものでしたか?
世界的に有名な日本企業で、英語講師のバイトをしていました。
具体的には、初級、中級前レベルのビジネス英語を、終業後の社員(生徒は5名で、その企業の役職者たち)に教えていましたね。
時給3,500円で、保険や退職金年金、交通費等の待遇はありませんでしたが、クラスは充実していて、よく笑いが飛び交いました。これはラッキーでしたね。
――当時の上司や同僚はどんな存在でしたか?
アルバイト先には、2名の上司と1名の管理職がいました。皆優しく、親しみやすかったですし、法令も守られていました。
同僚はスウェーデン、カナダ、フィリピン出身の3人で、勤勉で資格をもったプロの教師たちでした。
私は日本で家族を養える就労ビザを取得して仕事をしていましたが、同僚は保証されている就労ビザなしに仕事をしていたんです。それで、経済的に苦境に立たされて、うち2人は日本での夢を断念しました。
今思うと、同僚の待遇がもう少し改善されていれば…と思います。
――そのバイトの最も楽しかったエピソード・辛かったエピソードを教えてください。
刺激的な瞬間は、金曜日の授業の後、生徒さんたちとよく居酒屋に行ったことですね。飲み会は本当に楽しくて賑やかでしたね。
最悪の瞬間は、派遣の契約が終了して「もう必要ない」と言われたことです。
職を失うのはどうしたって受け入れ難いもの、とてもショックを受けました。
でも、その経験から、今やっているメインの仕事は、途切れることもなく就労ビザで保証されていて、「恵まれた仕事」だと再認識するようになりました。
同時に今の仕事を前よりも大切にするようになりましたね。
日本人の「とある振る舞い」に、言葉を失い、感銘をうけた!
――その仕事を通して一番驚いた日本人の行動・考え方は何ですか?
ある生徒さんなんですが、この方はとても丁寧で頭がよく物覚えも早い人でした。
出席も皆勤賞だったんですが、ある日、彼が席にいない日があったんです。
どうやら、他の方によると、「海外出張からその日に帰国予定で、授業には間に合わないだろう」とのことでした。
それが15分後、彼がドアをノックして、申し訳なさそうに入って来て、遅れたことを詫びたんです!!!
私にとってはビックリどころの話じゃありません!
その敬意、克己心、真率さに言葉を失いましたね。
私が驚いたもう1つの出来事は、契約終了と共に、友情や飲み会が急に終わってしまったことですね。
私の国では、転職したり契約が切れても、友情関係はずっと続くのが普通なんですけどね。
――友人が来日し、日本の企業で働くことになったとしたら、どんなアドバイスや注意をしますか?
「日本には勤勉なスペシャリストがすでに大勢います。自分には学歴、熟練度、勤勉、正直さがあるから大丈夫だと油断しないこと。
まず、信頼できて、ビザが取得できて、自分が必要とされる正規雇用の仕事を見つけて、それから日本に行きなさい」と言いますね。
――ご自身の国で10代後半~20代前半の就業意識・キャリアプランはどういったものですか?
トルコは、若者へのキャリアプランを教育する制度がないんです。
若者は夢だけ大きくて、計画ができません。
だからトルコは失業率が高くて、失業者の大半が大卒なんです。
日本を一言でいうなら「本質的」
――「天職が見つからない。やりたいことが見つからない。」という悩みにどんなアドバイスをしますか?
将来の夢には幅をもたせるべきだと思います。
パイロットの資格があっても英会話の教師をしなければならないことだってありますからね。
また、好き嫌いにこだわらないのがいいかと。
それにこだわると、自分のモチベーションや仕事への取組みに悪影響を及ぼすだけですからね。
――日本を一言でいうなら何と表現しますか?
「本質的」でしょうか。
日本の伝統と文化は個性的で今も昔から変わることなく存在しています。
日本の文化は昔から本質が変わっていないということですね。
日本固有の文化や伝統は、外来の文化に丸呑みされることなく、生活の中に根強く息づいていると思います。
――日本にも取り入れて欲しい・理解して欲しいあなたの国の文化・慣習を教えてください。
トルコでは、よく夕食会やお茶会を開いて近所の人を招待します。
ですが、日本は近所付き合いが希薄ですよね。
近所付き合いを軽視するのは感心しません。
―― 日本で最も感動したエピソードを教えてください。
スーパーでうっかり卵を落として全部割れたことがありました。
割れた卵の代金を払おうとしたんですが、レジの人はお金を受け取らず、新しい卵を持ってきてくれたことにとても感動しました!
私の国で卵を割ったら、店主が不愛想に「卵の金を払え」と言ってくるだけですよ。
32歳男性、トルコ出身
若い頃から海外生活に興味を持ち、大学卒業時には英語文学学士号と経済学修士号を取得。トルコのハイスクールに10年間勤務した後、日本に移住。神奈川県の学校に教師として勤務し、複数の科目で教鞭をとる。日本の大好きなところは、優しさ・謙虚さ・尊敬・規律・寿司・そして海。