俳優・多和田秀弥、小野寺晃良インタビュー「僕らが考える、やりたい仕事に出合うコツ」

多和田秀弥 小野寺晃良 ひだまりが聴こえる インタビュー フロム・エー FromA
映画『ひだまりが聴こえる』で共演した多和田秀弥さんと小野寺晃良さん。10代で役者という「やりたい仕事」に就けた2人にやりたい仕事を見つけるコツや映画のお話しをうかがってみました。

最初に話を聞いたときは少し抵抗があった(小野寺)

――映画『ひだまりが聴こえる』は漫画原作のボーイズラブ作品ですが、最初に話がきたときの率直な感想は?

多和田 普段、なかなか触れないジャンルの作品なので、最初は「おぉぉ!」と思いましたけど(笑)、台本を読んですぐに考え方が変わりました。ボーイズラブというより、ストーリーがおもしろくてグングン引き込まれてしまって。

小野寺 そうなんです。ストーリーがしっかり作り込まれているのがこの作品の魅力。正直、最初に話をきいたときは少し抵抗があったんですけど、原作を読んで印象が変わりました。

多和田 僕が演じる航平が突発性難聴を患ったことで内側にこもってしまうんですけど、晃良が演じる太一と出会ったことで、少しずつ航平が変わっていくというストーリー。耳が聴こえづらい設定なので、そこをどう自分に落とし込むかを一番に考えました。相手を見る時は目ではなく口元を見たりと視線の動かし方を気にしたり、実際にイヤホンをつけた状態で外出して、危なくない場所で歩いてみたり。そして、太一にどんどん惹かれていく心の動きも繊細に演じたいと思いました。

小野寺 太一はとにかく明るくて声が大きいという設定。僕自身は太一と重なる部分が結構あって。明るくて正義感が強いところとかまさに僕!(笑)

多和田 こういうことをサラッと言えちゃうのが太一っぽいよね(笑)。

――2人のキスシーンもありますが、すごくキレイでした!

多和田 本番1回勝負だったので、頑張りました(笑)。

小野寺 リハーサルを1回もやらなかったよね。僕は受ける側だったから特に何もしなかったですけど、きっと男友達に突然キスされたら、こんな風に驚くんだろうな…と思いながら演じていました(笑)。

多和田 突然キスするからね。でも、太一が鈍感すぎて航平が耐えられなくなったんだよ。その気持ちはちょっとわかる。

小野寺 わかるんだ(笑)。でもお互い、役になりきっていたからすごく自然だったよね。

撮影中は小野寺くんのフレッシュさに負けないよう心がけた(多和田)

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――お2人はこの映画が初共演ですよね。お互いの印象は?

多和田 初めて顔合わせをしたとき晃良が制服だったんですよ。高校生だから当たり前なんですけど「おぉ!フレッシュだな」と思いました。共演者のみちゅみちゅ(三津谷亮)と「オレたちもフレッシュ感を出して負けないようにしないと!」と言っていましたね(笑)。性格も素直で飾り気がなくてピュアだなと。

小野寺 そうなんですよね(笑)。

多和田 ちょっとは否定しろ!(笑)。でも寂しがりやですね。気が付いたらいつも近くに寄ってくるし、撮影で移動するときには必ず、先回りして待っているし。衣装さんと「小野寺くんは寂しがりやなんだね」って話をしていました。

小野寺 ちが…い…ます。(小声)

多和田 声が小さくなってるよ(笑)。

小野寺 えーっと(気を取りなおして)、多和田くんは非の打ちどころがないお兄ちゃんって感じです。優しくて真面目で完璧! 撮影に入ってからは、ほとんど一緒にいるので、どんどん仲良くなりました。

舞台をきっかけに自分にしかできない仕事をしたいと思うようになった(多和田)

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――ホントの兄弟みたいですね(笑)。ここからは仕事観についてお聞きしたいのですが、劇中、航平が太一によって変わったように、仕事で誰かに出会って変わった経験はありますか?

小野寺 この仕事に就くきっかけを与えてくれた人がいます。その人は同じ業界で働く先輩なんですけど、仕事のことをすごく楽しそうに話しているのを見て、僕も段々、役者の仕事に興味をもってきたんです。

それまで役者には興味もなかったし、自分が何かを表現するなんて想像もしていなかった。でも、その人が役者の魅力を伝えてくれたから、今、僕がここにいます。そして、実際に役者の仕事を始めて、ひとつの作品をつくるのに多くの人が携わっていて、自分だけの自己満足では仕事は成り立たないと気付かされました。人に出会って学ぶことばかりです。

多和田 僕は19歳のときにミュージカル『テニスの王子様』という舞台に出演したんですけど、ここで多くの愛あるお客様と出会ったことで自分の仕事観が変わりました。舞台はお客様の入りが目の前に突きつけられるので、満席になることが当たり前ではないということを実感しましたし、たくさんの声援を直にいただくことで仕事への熱量がグッとあがったんです。

それまでは「仕事だからやる」という感覚があったんですけど、お客様を裏切りたくないという気持ちが強くなって“自分が”仕事をする意味を考えるようになったんです。ただ、言われたことを漫然とやるのではなくて、自分にしか結果を出せないような仕事のやり方をしたいと思うようになったことは大きかったですね。

興味があることは徹底的に調べて情報を得るのがやりたい仕事を見つけるカギ(小野寺)

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――自分がやりたいと思うような仕事を見つけるコツってなんだと思いますか?

多和田 シンプルにやりたいと思い続けることではないでしょうか。役者を始めた当初はオーディションを受けても受けても合格できずに苦しい時期がありました。そのとき、早めに見切りをつけて大学に通ったほうがいいかなとか、就職したほうがいいかなと考えたんですけど、でもやっぱり「役者をやりたい」という気持ちが強くて今に至ります。きっと「やりたい」という気持ちが途切れてしまうと、仕事として続けられないと思うので。

だから、少しでも「やりたい」という気持ちが出てきたら、その気持ちを信じて進むことが大切。そうすると周りの人たちも協力してくれて、より進みやすくなると思います。

小野寺 興味があることや、ちょっとでもやってみたいと思ったらきちんと調べて情報を得ることが重要だと思います。正確な情報を持っておくことは、やりたいものに辿り着く手段でもあるし、その情報をもとに本当に自分がやりたいことなのかを見極める基準にもなると思うので。

自分のやりたいことに対して、いろいろと調べる人って実はそんなに多くない気がするんですよね。だからこそ調べることだと思います。

自分を磨くために人と接する接客業のバイトばかりやっていました(多和田)

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――ちなみにお2人はアルバイトってしたことありますか?

多和田 僕、いろいろやっています。16歳で上京したんですけど、当時はほとんど俳優の仕事がなかったからバイトをたくさんしました。高校を卒業してからも登録制バイトでいろんなお店への派遣を経験して。居酒屋、コンビニ、パン屋、ラーメン屋…。

小野寺 すごい、接客業ばかりだね。

多和田 そう、接客業がやりたかったの。もともと人としゃべるのが好きなのもあるんだけど、いろんな人と関わることで自分が磨かれるかなって。おかげで居酒屋さんではちゃんと常連客もついたし。晃良はバイトしたことないでしょ。

小野寺 ないんですよね。するとしたらどんなバイトがおすすめ?

多和田 パン屋さんとかにいたら商品が売れそう(笑)。

小野寺 パン屋だったらケーキ屋がいいな。甘いものが好きだし、料理もできるから売るよりも作りたいなぁ。

多和田 パティシエ志望とは! それはそれで評判になりそうだね(笑)。

■Profile
多和田秀弥(たわだひでや)

1993年11月5日生まれ、大阪府出身。2012年ミュージカル『テニスの王子様』で手塚国光を演じ話題に。その後、スーパー戦隊シリーズ『手裏剣戦隊ニンニンジャー』にスターニンジャー役で出演し、活躍の場を広げる。

小野寺晃良(おのでらあきら)

1999年7月16日生まれ、神奈川県出身。2016年ドラマ『臨床犯罪者 火村英生の推理』で俳優デビュー。2016年映画『HiGH & LOW THE RED RAIN』で映画初出演。

取材・文:中屋麻依子 撮影:八木虎造

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