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vol2  バーテンダー 加藤くんの場合
東京中の人と知り合うならバーしかないと思ったんだ。ディープな世界を知れるのは隠れ家的バー、それが一番の近道だから。

下北沢の隠れ家的なバーで週2日バーテンダーを務める加藤淳也くんにバイトの醍醐味を聞いてみました。「自分が働くまでこういうバーは入りづらかった」という大人のディープなバーの世界を詳しく教えてもらおう。

― まず、この仕事を選んだ理由は?
「この店に入る前は、アルバイトはファミレスや居酒屋で週3日くらいしていただけだったんだ。そのころは音楽に打ち込んでいたんだけど、音楽以外にも自分の好きな世界を広げたいと思いだした。お酒を扱う居酒屋で少しお客さんと打ち解けあうことがあったけど、もっとディープな世界を経験するならバーだなと思って、それで『フロム・エー』を見たんだ。たまたま巻頭カラーページのレアな仕事紹介でバー特集があって、この系列店の原宿のバーの募集が目にとまったんだ(下北店は同時募集中って感じだったんだけど)。原宿のバーもいいなと思って応募してみたら、「下北店」を任されてみないかっていう話になってびっくりしたね(笑)。オーナーの話を聞いてみると、下北店のマスターが休みの日に店を任せられるようなヤツを探してるって、でも単なるスタッフとしてじゃなく、店に入る日はその日の店長として、店を任されて欲しいって話だった。まさか下北のこんな隠れ家的バーの仕事が出来るなんて驚いたね。とても“下北ライク”しているバーで、こういう店ってスタッフは知り合いの紹介で回っていくと思っていたから。きっとこのきっかけがなければ、ビビッてこの世界には入れなかったと思うな」

― 面接はどうでしたか?
「きちんと時間を守って、緊張しつつオーナーと会ったんだ。自分で言うのもなんだけど、面接時の椅子に座ったその時から採用が決まっていた感じがするね(笑)。人柄を見ていたのかな。もちろん履歴書は万遍なく埋めたし、ヤル気もすごくあって、いままでのバーにはない自分の思い描くことをやってみようとしていることを話したりもした。それは好きなことをしていたいからということだけど、どんなことにも対応できるようにニュートラルな考えがあることもアピールしたよ」

加藤くん
お仕事評価指数
今回出てくれた人
Profile
加藤淳也くん(21才)山形県出身
現在、大学生の妹と2人で下北沢に住む。上京4年目。家賃は妹と折半でひとり6万5千円。高校時代は演劇部に所属し、舞台の脚本を書いて県のコンクールで脚本賞を受賞するほどの実力を持つ。高校を卒業後は映像系専門学校で映像を学ぶ。専門学校在籍中に音楽に目覚め、ヒップホップのラッパーとして活動をし、いまはサンプラーを使った音楽に打ち込む。今後ライブ予定もあり。将来的に自分のバーを持つことも考えている。
最近のハマリ物!!
お店で流すこのレコードが加藤くんのお気に入り。
BEASTIEBOYS(CHECK YOUR HEAD)、MYNATION(MOJANACIJA)、RADIOHEAD(THE BNDS)の3枚。
お店はここ
IDIOT SAVANT
IDIOT SAVANT
東京都世田谷区北沢2-9-13
03-9468-5504
とにかく自由でくつろげる空間、ここに来るだけで人生が楽しくなること間違いなし!
アクセス:下北沢南口から徒歩5分。キュートなサルの壁画が目印。新宿から小田急線で右側の窓を見ていると店が見えます。線路沿いです。
http://www.plusdee.co.jp/idiot/
スケジュール
週2日 1日基本8時間勤務
 18時〜 仕度
近所のスーパーへ食材の買い出しをする。そしてお通しや手間のかかる料理の仕込みをする。19時に来て仕度しても間に合うけど、のんびり作業をしたいため開店2時間前から始める。時給制でないからこういう自由が利く。
 20時〜 お店をオープン
意外と早い時間から来てくれる常連さんも多く、様々な話をしながら業務を進める。お客の入りが少ない時は電話で誘ったりもする。
 23時〜 ピークタイム
終電前が一番の混み時。パニクらないようにひとつひとつ丁寧に対応し作業をしていく。
 25時〜 ゆったりタイム
終電がなくなり、朝までいるお客さんと、何軒かはしごして回ってきたお客さんのみが残る。初対面の人とも深夜のディープな会話を楽しめる時間。
 6時 お店をクローズ
掃除、後片付け、会計などを済ませて業務を終了する。お客さんが居る時はそのお客さんが飲んでるまで付き合う。朝9時になることもしばしば。
 7時 スポーツジム
週3日はバイト後に下北沢エグサスで汗を流す。プールとサウナが目当て。酒を抜く。
先輩のコメント
メインのマスター:藪下陽一さん(27才)
藪下さん 「自分とは違うことをしてくれるので頼もしいです。彼の当初の目標であった“秘密基地のような空間”にだいぶ近くなっていると思います。これからもっと様々なことにチャレンジしていって欲しいです!」
― 時給などはその時に決まったのですか?
「オーナーに“時給制”か“完全歩合制”かのどちらか好きな方を選べと言われて、僕は“完全歩合制”を選んだんだ。自分のヤル気を見せたかったというのがあって。お金を儲けたいとか、自分に自信があったとかでなく、どうせやるなら店と一体化してトコトンやろうとね。売り上げの3割が収入になっているよ」

― 合格した時プレッシャーは?
「とても人見知りする性格なのでそれをどう直すか考えた(笑)。いまではだいぶ良くなってきましたね。昔の、自分の世界に閉じ篭っていた頃を勿体無く感じる。こうやっていろんな人とカウンター越しで話しているだけでいろんな世界を知ることができる事がわかったから」


初日から店をひとりで任された、勉強になることが多かった

― バイト初日はどうでしたか?
「緊張しまくりだったね。だって、初日からひとりで店を任されたからさ、ありえないでしょ(笑)。初めのうちはメインのマスターがお客としてカウンターに座っていたけど、終電頃には僕に任せて帰っていったんだ。「ガスの元栓」、「支出の計算」、「戸締り」の3点だけはしっかり教えてもらったけど、それだけ。即実践で覚えさせるためだったんだ。でも、お客さんにジントニックを頼まれても、『トニックって何ですか?』と聞くくらい…。お酒に関して全く無知だったから、お客さんに教わりながら手探りだったね」

― お客さんはどのように確保したのですか?
「初めのうちはメインのマスターに紹介してもらったのと、地元の友達に電話して来てもらっていたよ。初日は10人だけだったけど、それでも店を回すので精一杯だった…。でも一生懸命やったよ。みんな何度もきてくれて、知り合いをつれてきてくれたり。僕のバーテンダーとしての自信とともにお客さんも増えてきたね。一見さんが常連さんになってくれることもあるし、僕にとっても、学校を卒業してから会うことのなかった旧友と逢える場所になっているよ」
「この仕事でいっぱい稼ごうとは思ってないんだ。同世代の友達はお金がないのでそれを気にしてこのバーに飲みに来なくなっちゃうのは嫌だから。だから『1杯だけで何時間でも居ていいから来て〜』みたいなノリですね。無理して飲まなくてもその人に合ったペースで楽しんでもらえるのが嬉しい。そういう風に人が来ることでお店にも活気が出るからうまく回りだしたのかな。でも4人しかお客さんがこなくて収入が300円なんて日も(笑)。最高は30人ですね。今は平均して10〜15人くらい来てくれてるよ」

― このお仕事でトクしている事は?
「やっぱりいろんな人と知り合いになれることかな。こうやっていろんな人とカウンター越しで話しているだけで、いろんな世界を知ることができるから。 会話だけでなく音楽でお客さんを盛り上げるのも醍醐味!いままで一番嬉しかったことは、一見さんのお客さんうちとけた時。僕より4つ上くらいの男性が、2人入ってきて飲んでいたんだ。初めは僕と会話が噛み合わなくて話す機会も少なかったけど、僕がセレクトした音楽をかけたら、趣味が合う事がわかっていきなり打ち解け合えたことだね。バーテンダーは会話だけでなく、そこで流す音楽も自分の好みをかけられる。そのDJ感覚も醍醐味だと思う」

― 逆に困ったことは?
「完全に夜型人間になってしまったこと(笑)」


プライベートでも常に勉強、本を読むより他のお店の先輩から学ぶ事が多いよ

― バイト時間以外で自分なりに勉強していることはありますか?
「プライベートでいろんなバーにお客として行くんだ。そこで“こういう対応されると気持ちいいな”とか“このお通しはありだな”とか学んでいく。初めのうちはバーテンダーの手先を見て技術を盗むこともしてたよ(笑)。本を読むよりも誰かの動きを見ている方が勉強になったね。とはいえ、初日前日くらいは カクテル本を読んでいった方が良かったかもしれないけど(笑)。また、あえて働いているバーのスタイルとは違う、蝶ネクタイのバーテンダーがいるようなバーにも行ったりする。勢いで作ってお客さんに飲ませるのではなく、楽しく雰囲気で飲ませるコツも学べたね」
「あとは料理。下北に部屋を借りているけど、そこまで料理にはこだわってなかったんだ。でも、この仕事を始めてから自分で様々アレンジして料理を作るようになった。自分の部屋で試作品を作ったりしてね。それで、自信が持てるようになったらメニューに出すんだ。 店を開ける前にバーの近くのスーパーに行くと、近所のバースタッフが同じように買い出しに来ている。そこで『今日、海老が特売だったよ』とか『新鮮な鯖が入ってたよ』とか主婦の井戸端会議みたいなので情報を仕入れるんだ。その日のオススメ品がお店にあると華やかになるから、そういう食べ物ネタは重視しているよ」


まだまだこれから、もっといろんなことにチャレンジしたいね

店内風景
お客さんといろんな話をするよ
― このお仕事の魅力は何ですか?
「働き始めて1年だけど、まだまだ学ぶことが多いということ。作ったことのないカクテルだってまだまだあるし、かといってもう1年経っているのだから、ある程度作れないといけないでしょ?まだまだ勉強しないと。さらに、ここは様々なジャンルの人たちがやってくる。バーに来るお客さんとのコミュニケーションをしていくうちに、バーの奥深さも知ることができる。いかに美味しいと言ってくれるか、カクテルひとつ作るのにもこだわり続けているよ」
「そして、とても頭を使う仕事だっていう事かな。お客さんとの会話もそう。この人はこういう話が好きだな、とタイミングを見計らう。その時にお酒のタイミングや、いまの空間とかけている音楽があっているかも。でも、いろんな人がいるけど、今は自分の意見もしっかりもって、お客さんと同じ様にバーテンダーも自然体でいることが何より成功の秘訣だと思ってる。自分らしさを確立してオリジナルでいろんなことにチャレンジしたいね」


遅刻は厳禁、言動一致が採用の決め手でした
面接担当者:小山修さん(オーナー)

小山さん― ズバリ、彼を採用した理由は?
「言動が一致しているのが加藤くんでした。今までの彼の人生などを聞いて、ちゃんと誠実に生きてきたことがわかりました。そして自分で全てやってみたいという誠意も感じましたよ。履歴書もある程度は参考にしますが、やはりその人の誠実さを重視しましたね。バー業務の経験がない彼を採用したのはそういう理由 です。4人を面接しましたが、そのうち2人は面接時間に遅刻してきたので論外でした。“時間を守れない”ということは仕事面も人間的にも信用できませ んから。もしこの2人が遅刻してこなかったら採用もあり得たかもしれません」

― お仕事ではどうですか?
「初めからひとりで任せたのはその方が勉強になることが多いからです。加藤君はお客さんからも好かれることが多いようですね。現在4店舗で展開してますが、もう1店舗増やすことも考えています。その時はメインのマスターとしてお願いすることもあると思いますよ。そのくらい完璧に仕事をこなしてくれています」

― このお仕事“バーテンダー”に求められることは?
「最低限お酒を飲めて、料理も作れる(興味がある)方ですね。そして新しい客層を開拓していく好奇心があることも大事です。そして音楽を楽しめることも」

目次へ
編集部から
バーテンダーのお仕事って、お酒、料理、サービス・・・勉強する事がいっぱいあるんだね。だからこそ、この奥深さが楽しさのポイントなのかも。取材におじゃました時、お店のメニューは加藤君のオリジナルメニューでいっぱいだったよ!加藤君のガンバリっぷりと立派なマスターっぷりを感じました。

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