今回のゲストは、摩天楼オペラのベーシスト燿(よう)さんと(元SuG)のドラマーshinpeiさんを迎えての対談。2人はMiAにとって10年以上も付き合いのある気の置けない仲間。お互いが知り合う前のアルバイトの経験について語ってもらいました。
SuGのライヴ照明を担当していたのは、当時バイトをしていた僕です(MiA)
――MiA: お2人とはもう10年以上のお付き合いになりますけど……ちゃんとお会いするのは5年前にセッションバンドでワンマンライヴをして以来ですから、本当に久々ですよね。
shinpei: そうだね。でも、ちょこちょこ連絡は取り合っていて。普段はそれぞれの活動があるからなかなか絡む機会ってないけど、こうしてたまに集まって一緒に音楽ができるって、すごくいい関係だよね。
燿: うん。MiAくんのMEJIBRAY、しんちゃん(shinpei)のSuG、僕の摩天楼オペラって、イベントでも対バンしたことはないのに連絡を取り合っているって……すごいなって思ったりもする。
MiA: 燿さんもshinpeiさんも僕にとっては大先輩ですけど、僕としては気軽に連絡を取らせていただけるお2人でもあるので、本当にありがたいなって思っています。ところで、お2人はバイト経験ってありますか?
shinpei: あるある。でも、その前に聞いていい? 早くからギタリストとして活躍しているMiAくんだけど、バイトしたことってあるの?
燿: 絶対なさそうだよね。
MiA: それがあるんですよ。ライヴハウスで、照明のバイトをしていました。shinpeiさんが加入する前のSuGさんの1stワンマンライヴで、武瑠(SuGのボーカリスト)さんやギターソロを弾くmasato(SuGのギタリスト)さんをピンスポットで照らしていたのは僕です。
shinpei: マジで!?
MiA: マジです。という経験もあり、照明の当て方には自信があります(笑)。
shinpei: めちゃめちゃ驚いた(笑)。僕は至って普通で、ハンバーガーショップでバイトしていたことがある。
パティが焼けるタイミングは感覚でわかる(shinpei)
燿: え、俺も高校生のときハンバーガーショップのクルーだったよ⁉ それが初めてのバイト。
shinpei: 同じく、僕もそのハンバーガーショップが初めてのバイトだった。キッチンで働いていて……。
MiA: そのときハンバーガーショップに行った人は、shinpeiさんの揚げたポテトを食べていたんですね。なんか高まる(笑)。キッチンだと、いろいろ覚えなきゃいけないんですよね。たとえば、ポテトの塩加減とか。
shinpei: そうだね、でも、そのハンバーガーショップはチェーン店でマニュアルがしっかりしているから、最初に全部教えてもらって。
MiA: っていうことは、料理ができるようになるんですか?
shinpei: いや、それはまた別。でも慣れてくるとパティが焼けるタイミングは時計を見なくても感覚でわかるようになるよ(笑)。
MiA: shinpeiさんの叩くドラムのタイム感(リズム感)のよさは、そのときに養われたんですね(笑)。すごい、バイトでの経験が今に活きている!
shinpei: ま、大学に入ってすぐにやめちゃったんだけどね。
MiA: え、なにがあったんですか!?
shinpei: 大学入学のときに銀髪にして。それで、そのハンバーガーショップで働き続けることができなくなった(苦笑)。その後は、いろんなバイトを経験したな。コンビニで働いたりもしつつ、職人をやっている父親の手伝いをしたりと。
クレーム対応は、実は得意(燿)
燿: 僕は地元にいたころに半年くらいハンバーガーショップで働いて、上京してからは大学に通いながら結構いろいろなバイトをしたんだよね。履歴書を書くと、びっしり埋まるくらい。
MiA: そんなにたくさん! どんなバイトをされたんですか?
燿: 家庭教師、ウエイター、プロバイダのサポートセンターでスーパーバイザー……。
MiA: スーパーバイザーとはどういう仕事をするんですか?
燿: 簡単に言うと、電話対応するオペレーターを管理するポジション。80人くらい働いている部署で、朝礼台に立ったりもしていたんだよね。
MiA: すごい、偉い人じゃないですか。めっちゃできる人だったんですね。
燿: お陰様でクレーム対応には自信がある!(笑)
MiA: とはいえ、どう説明をしても納得されない方っているわけですよね?
燿: いるいる。お客様が極限まで怒っているときに対応を間違えると、火に油を注いでしまうし。でも、お客様に理解してもらえる方法は絶対にあるんだよね。コミュニケーションをとっていくうちに、相手がどんなことを求めているかを探っていくと、答えが見えてきたりして。
MiA: そのときの経験、アーティスト活動をする上でも活かせそうですよね(笑)。
燿: 本当に。表に立って活動するといろいろな言葉を浴びるけど、うまく自分の中で処理できるようになったよ。
MiA: なるほど。その時の経験があってメンタルが相当鍛えられたわけですね。ほかにも、これまでの人生でやっておいてよかったなと思うことはありますか?
自分で自分の選択肢を狭めないこと(燿)
燿: 俺は、バンド以外でいろいろやっていたバイトの経験が、今の生活に役立っていると思うし、良かったなって。プロバイダのサポートセンターで働いていたおかげで、テレビやインターネットのセッティングは全部自分でできるし、トラブルへの対処もできるし(笑)。MiAくんはどう?
MiA: ライヴハウスでバイトをしているときは、先輩のミュージシャンに厳しくしつけられたりしましたけど、今になって思うと、あの頃に辛い思いをして良かったなって思います。
shinpei: 社会に出たら、嫌な目に遭うことなんてたくさんあるしね。俺も、ちゃんと社会に出る前にバイトをしておいてよかったと思う。そこで、マナーや言葉遣いを覚えることもできたわけだから。
MiA: マナーや言葉遣い、大事ですよね。
燿: 俺、サポートセンターでスーパーバイザーをしていたとき、返信のメールを1つ作成するにも、それは痛感したな。
MiA: そんなお2人が、これからバイトや夢を探そう、見つけた夢を追いかけようという人に言ってあげたいのは、どんなことですか?
燿: 自分で自分の選択肢を狭めないこと。どこかでバイトしてそれが自分に向いていなかったとしても、ほかに向いている仕事はきっとあるはずだから。
MiA: とりあえずやってみるべきですよね。失敗したら、それを次に活かせばいいわけだし。トライして修正して、トライして修正してっていうことを繰り返していくことで、視野も広がると思います。
shinpei: うん、同感。あと、もし夢が見つかっていなかったり、夢へ向かって踏み出すのに躊躇しちゃうんだったら、とりあえず立ち止まらずにバイトをしたほうがいいと思う。そうすれば、やりたいことが見つかったとき、いざ動き出そうと思ったときの資金になるから。
MiA: うんうん、お金は大事ですよね。
話の流れのついでに、この世界で長く活躍しているお2人に、やりたいことを続けていく上で大事なことについて、コツみたいなものもあればぜひ聞きたいです。
何をするにも、目的をハッキリもって行動して、約束は守るべき(shinpei)
shinpei: 僕たちでいうとバンド活動になるわけだけど、バンドって規模に関係なく、ひとつの会社に近くて。立ち上げるときってお金もかかるし、やることもたくさんあるじゃない?
MiA: 確かにやりたいことをやって楽しそうに見えても、実際はそうですよね。
shinpei: そう考えると、たとえば売れるためにやるのか、楽しむためにやるのか、目的をはっきりさせたほうがいいと思う。
MiA: そのほうがタイムロスなくなりますしね。
燿: それに、バンドっていうのは音楽とか自分のパートが好きじゃないとできないことだけど、好きなだけではダメで。時には自分が苦手なこともやらなきゃいけないんだっていうことは、やってみてから知るよね。
MiA: ミュージシャンの中には納期や締切を守らなかったり、時間通りに来なかったり、中にはそのテキトーさがカッコイイと思っている人もいるけど、本来はちゃんと守らないといけなかったりしますもんね。
燿: 本気でやりたいと思うなら、そこをちゃんとしないと、どの世界でも長くやっていけないぞっていう。
shinpei: そうそう。社会に出たくないからバンドをやるっていう人もいるけど……。
MiA: だったら、本気というよりは趣味でやるべきですよね。その点、燿さんやshinpeiさんはちゃんと曲を覚えてくるとか時間通りに来るとか、仕事をする上での基本的な部分がすごくしっかりされているから、僕としては一緒にセッションをさせてもらうにしても、すごくやりやすくてありがたいです。
――今日はたくさんのためになるお話をありがとうございました!悩みましたが、今回の言葉でいうと・・・これが大事ですね。
燿(摩天楼オペラ)
摩天楼オペラのベーシスト。2007年結成当初からのオリジナル・メンバー。その卓越したテクニックと、端正な顔立ちで人気を博す。◆摩天楼オペラOFFICIAL SITE:http://matenrou-opera.jp/◆Instagram燿 : opera_yo
◆Twitter燿 : @opera_yo
shinpei(ex.SuG)
ドラマー。2007年結成のビジュアル系ロックバンドSuGのドラマー。バンドは2011年シングル「gr8 story」でメジャーデビュー。10年間活動後、2017年解散。現在はセッションドラマーとして活躍中。◆Official Twitter:@shinpei_drums
MiA(ミア)
ギタリスト、音楽プロデューサ。15歳からヴィジュアル系バンドのギタリストとして活躍。2011年に加入したMEJIBRAY(メジブレイ)では美形ギタリストとして注目を集める。MEJIBRAYの活動が休止後はミュージシャン以外に実業家としての顔ももつ。◆MiA Official Twitter:@MEJIBRAY_MiA◆MiA Instagram:mejibraymia
企画・取材・編集:森 晶 文:杉江優花
端正なルックスにヘビーメタルを基としたハードなギタープレイと、美しさと実力を兼ね備えたMEJIBRAYのギタリストMiA。MiA流“未来につながるアルバイトの選び方”について聞きました。
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