学生の間でSNSに写真をアップするのが日常になりつつある中、スマートフォンやデジタルカメラではなく、あえて祖父の形見のオールドカメラでフィルム撮影にこだわる、インスタ・フォトグラファーがいます。都内の大学に通う21歳のarerennn
(https://www.instagram.com/arerennn)さんです。
そんな彼女と、都内の公園でプチ撮影会を実施。自身も現役女子大生の彼女に、素敵な写真を残したい学生にむけて、学生生活の思い出を彩る写真撮影のコツを聞きました。
Instagramを通じて“依頼撮影”も経験
————写真を始めたのいつですか?
本格的に始めたのは、高校2年生の時です。きっかけは、自分でリクエストをして、両親にデジタル一眼レフカメラを買ってもらったこと。その頃から、友人や景色を中心に撮影しています。
————Instagramを始めたきっかけは?
撮影した写真をたくさんの人に見てもらいたいと思い、高校3年生の時に始めました。当時の投稿は、教室で撮影した友人の写真や、景色の写真が中心。大学に入学した頃、知人から「Instagramで被写体を募集して、撮ってみたら?」とすすめられ、それ以降は、友人以外の人物写真も撮るようになりました。
撮影を依頼される方は社会人の女性が中心で、「今の自分をキレイに撮ってほしい」とリクエストされることが多いですね。平日は大学があるので、土曜日か日曜日のどらかを撮影日にあてています。この3年でかなり、依頼撮影の経験も積めました。
撮影のコツ1)写真が苦手な人は、グリッド機能を使ってみて
———arerennnさんはフィルムカメラを愛用されていますが、大抵の学生は、スマホで写真を撮っていると思います。スマホ撮影時のアドバイスはありますか?
スマホの機能“グリッド線”を活用することをおすすめします。画面を3分割するラインが出ると思うのですが、線の交わるところ“交点”に、撮りたい人物やものを置くと、構図が決まりやすいと思います。
——arerennnさんのポートレートは、人物が中心にある写真が多い気がします。
そう言われると、そうかも…。被写体を魅力的に撮ろうと見つめてしまうので、自然にそうなってしまうのかもしれません(笑)。
写真は、楽しんで撮るのが一番! とは思いますが、できるだけ素敵な写真を残したい気持ちもわかります。そういう時は、先ほどのグリッド線を活用すると、写真の精度がかなり上がると思うので、試してみるといいと思いますよ。
撮影のコツ2)ロケーション選びは、好きなスポット&抜け感を大切に
———撮影のロケーション選びも上手ですね!
ありがとうございます。私は撮影する時、“抜け”ができる公園などに来て、特に人がいないところを探します。なるべく、平日に撮影するのもポイント。学生の特権ですね(笑)。
それから、好きな撮影スポットを作ることも大切です。個人的におすすめなのは、武蔵小金井の「江戸東京たてもの園」。昭和初期の銭湯や明治初期の文具店など、昭和以前の建物が復元されています。
皆さんにも学生生活の中で見つけた、お気に入りの場所がいくつかあると思います。そこに、奥行きが出る“抜け”やフォトジェニックな景観があれば、より雰囲気のある素敵な写真が撮れると思いますよ!
撮影のコツ3)“学生っぽさ”は、セルフタイマーで演出を
——学生時代は何かと集合写真を撮る機会が多いと思いますが、コツを教えてください。
スマホ専用の三脚があるので、三脚を使って、セルフタイマーで撮影すると盛り上がると思います。10秒で設定したら、みんなで数えながら同じポーズをとろうとか、使いこなせるとすごく楽しいですよ!
ポーズの定番はかなり体力がいるけど(笑)、やっぱり、ジャンプかな? 友人やグループの空気感を大切にすると、“らしさ”が出ると思います。あとは、その場の“ノリ”で気楽に撮るのが一番です!
———ちなみに、スマホの写真加工アプリでおすすめはありますか?
写真加工アプリは本当にいろいろありますが、本格的に編集できる「Snapseed」でしょうか。例えば、夕方から夜に撮影すると人物が暗くなりますが、このアプリを使えば、顔だけ明るく加工することもできます。
他に、逆光で撮影した写真も補正できますし、背景をぼかしたりもできて、本当に自由自在です。
———スマホカメラもアプリも進化する中、なぜ、arerennnさんはフィルムカメラにこだわるのでしょうか。
カメラを始めた時はデジタルでしたが、祖父から受け継いだオールドカメラでフィルム撮影をして、その“暖かみ”に魅力を感じました。その場の空気感を、フィルムにしか出せない“味”が引き立ててくれるように感じます。
それに「今回は、どんな写真が撮れているのかな…」と、現像を待っている時間が本当に楽しくて、幸せ。これからもフィルムカメラにこだわって、撮影を続けていきたいと思っています。
まとめ
おじいさまが大切にしていたものを引き継ぎ、多くの魅力的な写真を撮り続けているarerennnさん。彼女の写真には、被写体に対する友愛の気持ちやリスペクトに溢れています。それは、フィルムカメラの持ち味によるところもありますが、彼女の人柄だからこそ写し出せるのだと感じました。
arerennnさんが伝えてくれた撮影のコツを参考に、皆さんも、学生時代の思い出を楽しく切りとってくださいね!
取材・構成・文:石上直美(verb)
撮影:森口新太郎