日本酒をもっと好きになってほしい! 千葉の幼馴染2人が大学在学中に立ち上げた「SakeBase」に込めた思い

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日本酒好きの大学生2人が立ち上げた団体「Sake Base」。小学校からの同級生という間柄でもある宍戸涼太郎さんと土屋杏平さんが、若い世代の日本酒離れや需要低迷の傾向などに危機感を持ち、「もっとたくさんの人に日本酒の魅力を伝えたい」と今年4月に設立しました。日本の伝統を廃れさせまいとする強い思いが込められたその活動について、詳しくお話を伺ってきました。

 

イベントやSNSでの発信を通し、若い世代にも親しみを持ってもらう

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――「SakeBase」ではどのような活動をされているのでしょうか?

SakeBase宍戸さん
宍戸さん:日本酒のすばらしさや奥深さを広める活動をしています。各地の酒蔵を訪れたり、品評会などで杜氏とお会いしてお話をうかがったりして実際に飲んだ銘柄をSNSで紹介しています。

SakeBase土屋さん
土屋さん:月に1~2回ほど行っているのが「カクウチ」。酒屋さんの店内で立ち飲みする昔ながらの「角打ち」というスタイルを基に考案したイベントです。主に屋外の空ペースを借りて手作りのカウンターを持ち込み、毎回異なる5種類の日本酒を販売しています。

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千葉県内や都内を中心に開催する「カクウチ」。毎回ラインナップが異なるとあってリピーターも多い(写真提供:Sake Base)

SakeBase宍戸さん
宍戸さん:ほかには各地の酒蔵から仕入れた日本酒を飲食店へ卸しています。また、9月からは僕たちがおすすめする日本酒を3本セレクトしてお届けするサービス「Club Sake Base」(月額税込5400円、送料込)も開始しました。11月からは浅草に日本酒の自動販売機も設置します。

――自動販売機ですか!? 多岐にわたる活動をされていますね。

SakeBase土屋さん
土屋さん:ボタンを押すとおちょこに注がれるんですよ。土地柄、外国人観光客が多いのでたくさんの人に日本酒に触れるきっかけになってもらえたらうれしいですね。

――今年4月に活動をスタートしてから約半年。手ごたえはいかがでしょう。

SakeBase土屋さん
土屋さん:毎回「カクウチ」を楽しみに来てくださる方も多く、そのお客さんが友達を連れてきて広めてくださって…若い世代にも好評でうれしいですね。

SakeBase宍戸さん
宍戸さん:「良い日本酒を置きたいんだけど、メニューに合う銘柄がわからない」と相談を受けていた居酒屋の方から「卸してもらうようになってから売り上げが伸びました!」と報告をもらったときは達成感がありました。扱うお酒は全部実際に飲んで「おいしい!」と思ったものばかりなので、要望に合った日本酒をピンポイントで勧められるのが強みだと思っています。

 

日本酒好きになったきっかけは、古き良き日本文化へのあこがれ

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事務所にも各地から取り寄せた酒がずらり。20種100本ほどが並ぶ。

――そもそもお二人が日本酒に興味を持ったきっかけは?

SakeBase宍戸さん
宍戸さん:昔から歴史的建造物や寺院など、日本独自の文化が好きだったんです。京都や金沢のような古き良き街並みがお気に入りで。高校時代、二人で運転免許を取得するための合宿で新潟に行ったのですが、日本の伝統を感じられる場所にほとんど毎日出かけました。

SakeBase土屋さん
土屋さん:その一環で、新潟市にある「今代司酒造」を訪れたのが日本酒を好きになるきっかけです。当時は未成年なのでもちろん試飲はできなかったのですが、蔵の方に日本酒について丁寧に教えてもらううち、その繊細な製法に興味が湧きました。

SakeBase宍戸さん
宍戸さん:新潟では計3カ所の蔵を訪問しました。わかりやすい見学ツアーを行っていたり、外国人観光客のために英語で表記していたり、古き良き日本の伝統ながら新しい風を取り入れる酒蔵の方々の熱意に触れ、自分も何かできることがないかと思ったんです。約3年かけて構想を練り、今年の4月に晴れて活動がスタートできました。

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――お二人とも現在21歳と、日本酒業界ではかなり若手なのではないでしょうか?

SakeBase宍戸さん
宍戸さん:そうですね。日本酒の世界では、40歳でも若手の部類。飛び込んだばかりの僕たちはまだまだ赤子状態です。親切な方もたくさんいらっしゃるのですが、いわゆる冷やかしだと勘違いされてしまい門前払いのようにされることもありましたね。

SakeBase土屋さん
土屋さん:対等に扱ってもらうためには、対等な知識を持っていなければならない。経験が浅い分、日本酒に関してはかなり勉強しました。決して軽い気持ちではなく、真剣に日本酒を若い世代を中心に広めたいという熱意を伝えると、たくさんお話をしてくださるようになりました。

――これまでにどれくらいの酒蔵を訪れたのですか?

SakeBase土屋さん
土屋さん:北は青森から南は高知まで、約60カ所です。時間がなく見学と試飲だけ行ったところも含めると200カ所以上になります。人に勧めるからにはその酒蔵についてしっかりと知り、自分の目や舌で確かめたいんです。

――酒蔵訪問では相手先とどんなことをお話されるのでしょうか。

SakeBase宍戸さん
宍戸さん:蔵の歴史や銘柄の製法やこだわり、今後の展望などでしょうか。作り手と売り手の両方の考えを知りたいので、杜氏さんはもちろん、営業担当や社長さんからお話を聞くようにしています。どの蔵も共通して話題に上がるのが、職人の高齢化と後継者不足。伝統文化を絶やさないためには、まず若い人を中心に需要を拡大させなければならない。Sake Baseがその足掛かりになればと思っています。

 

日本だけでなく、世界へも自分たちの手で伝えていきたい

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取引先から菰樽やエプロンといった日本酒に関わる道具を借り受けることも。

――お二人は大学生。卒業後はSake Baseの活動が中心になるのでしょうか?

SakeBase宍戸さん
宍戸さん:実は最近、退学を決めました。決して単位が足りなくなったわけじゃないですよ(笑)。Sake Baseでの活動が想像以上に好調で、多忙のあまり学業との両立が難しくなりました。どちらも中途半端になるのが嫌だったので、悩んだ結果、Sake Baseを選択しました。

SakeBase土屋さん
土屋さん:実は僕もこの秋を持って退学します。Sake Baseは年内に株式会社化し、本格的に起業する予定です。ベンチャービジネスや経営簿記などを学んでいたので、これからの活動に少しでも活かせたらと思います。

――退学を決意したときの、周囲の反応はいかがでしたか?

SakeBase土屋さん
土屋さん:応援してくれる人もいましたが、家族や友人には「本当にやっていけるのか」と反対されることが多かったです。悩みに悩んだ末の決断だったので、周囲に相談した時点ではすでに迷いはなく、決意が揺らぐことはありませんでした。

SakeBase宍戸さん
宍戸さん:ネガティブな意見が多かったのですが、二人ともSake Baseでやりたいことや将来のビジョンが明確に見えています。活動をこの先も続けていく自信がありますし、不思議と不安ではないんです。

――最後に、今後の展望を教えてください。

SakeBase土屋さん
土屋さん:年内めどに海外で「カクウチ」のような日本酒に関する取り組みができたらいいなと思っています。現在、最有力候補なのはイタリア。ワインのイメージが強いとは思いますが、料理に合わせるお酒としても人気が高いんです。

SakeBase宍戸さん
宍戸さん:長期的な目標としては、いずれ自分たちの蔵を持ちたいと思っています。酒造りにも本格的に携わりたいです。SNSで発信するだけではなく、現地で実際に自分たちの手で、日本酒を広めたいと思っています。

 

まとめ

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取材後には「ぜひおすすめしたい銘柄があって…」と試飲を勧めてくださった二人。お酒の概要はもちろん、飲み方や合う料理など言い淀むことなく的確に教えてくれる姿に感じたのは、日本酒へのあくなき情熱。夢を自分たちの手で仕事にする努力の大切さを教えてもらいました。

 

<イベント情報>
次回「カクウチ」
2017年10月27日(金)・28(土) 17:00~21:00 
「MICHIYA」津田沼店前スペース(千葉県習志野市津田沼)
※詳細、以降の開催情報はSake Base SNSにて

SakeBase SNS
Twitter:https://twitter.com/sake_base
Instagram:https://www.instagram.com/sake_base/
Facebook:https://www.facebook.com/sakebase/

 
取材・構成・文:麻林由(verb)
撮影:早川里美

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