大学生で起業! 独立してロボット開発! 「ユカイ工学」CEO・青木俊介さんに聞く自分の未来の見つけ方


学生からすると憧れの存在のひとつと言えるのが、起業家。先行きのわからない世の中で、自らのアイデアを形にし、人々の暮らしを豊かにする姿は魅力的に見えるのではないでしょうか。

起業を目指すにもまずは会社勤めしてから……というのが一般的ですが、なかには学生時代に起業し、活躍している人もいます。大学時代に友人とともにチームラボを起業し、現在はロボットベンチャー・ユカイ工学のCEOを務める青木俊介さんに、学生時代のアルバイト経験や起業の経緯、現在取り組んでいる仕事について伺いました。

 

「勉強ができる」だけではダメ!? 東大で直面した悩み


――青木さんは開成中学校から高校に進んで、東京大学に入学したんですね。まさに「エリート」という感じです。

いやいや……まぁ確かに「勉強ができる」で有名な学校ですよね(笑)。でも、それまではただ勉強をがんばってさえいればよかったのに、大学に入るといきなりその勉強が「何の役に立つか」わからなくなったんです。

大学生になると周りも勉強以外のことをいろいろとはじめるし、「テニスサークルは女の子にモテるらしい」とか(笑)、「ただ真面目に講義を受けているだけでいいのか?」と迷いが出てきて。

 
――「テストでいい点さえ取っていればよかった」のに……と。

そうそう。高校生までは「人生の目的」みたいなものがなくても、生きていけたから楽だったんです。でも大学生になったら、「やりたいこと」を自分で決めないといけない。それが本当に大変で。

 

――「やりたいこと」は特になかったんですか?

もともとロボットを作りたくて、人工知能に関する研究で有名な先生がいる工学部に入ったんですよ。そのまま研究を続けて、大学の先生になるのもいいかな、と考えて。でも、実際に大学の先生の様子を見ていると、全然おもしろそうじゃなくて(笑)。パッとしない雰囲気で、給料もすごく安いみたいだし……憧れられるような人がいなかったんです。

そのうち、「アメリカには学生のあいだに起業する人もいるらしい」と耳にして。英語も得意だったし、1年生の時にニューヨークとボストンへ旅行に行ったんです。そうしたら、「トラベラーズチェック(旅行小切手)使えますか?」が全然通じなくて、「ストロベリーシェイク」を渡されたんですよ(笑)。みんな感じ悪いし、街も汚いし……ほんと、つまんなかったんですよね。「あぁ、これちゃんと英語やらないとヤバいわ」と思って、英会話学校に通いだしました。

 
――大学時代、ほかに取り組んだことはありましたか?

高校時代、水泳部に入っていたんですけど、夏合宿になるとOBの大学生たちが指導に来てくれて、卒業後もいろいろと面倒を見てくれていたんです。先輩に「インドに行かなきゃ男じゃない」なんて言われたから、インド旅行に行ったり……アルバイトを紹介してくれたのも先輩だったんですよ。

 
――アルバイトは何をしていたんですか?

先輩のお兄さんがホームページ制作の会社をやっていて、そこで働きはじめました。プログラミングをしたり、サーバー構築したり……当時、「ホームページを作る」っていうだけでも、“時代の最先端感”がものすごくありましたよね。

僕は高校生の頃からパソコンが好きで、専門誌をよく読んでいたんですけど、その中には「インターネットで国境がなくなる」……なんてことが書かれていて、得体の知れないワクワク感があったんです。それで、「これからはインターネットだ!」と思って、大学入試が終わった瞬間に、家にネット回線を引いて、新しいパソコンを買ってもらったんですよ。だから、バイトで自分なりにいろいろ試行錯誤するのはすごくおもしろかったですね。

 

「これからはベンチャー!」チームラボ・猪子さんとの出会いが起業のきっかけ


――青木さんが在学中にベンチャー企業を立ち上げた経緯を教えてください。

大学2年生の時に猪子(寿之・チームラボ株式会社代表取締役)くんと同じクラスになったんですけど、彼がやたら「ベンチャー! インターネット!」って言うんですよ。「これからはベンチャーや! インターネットですべて変わるから、先生の言うこと聞いてる場合じゃない!」みたいな(笑)。僕自身はビジネスにそこまで興味はなかったけど、確かにおもしろそうだな、と思って。そうしたら、同学年の友人がソフトウェア会社をはじめて。時期的にはIT企業がどんどん出てきて、「起業ブーム」に近いものがあったかもしれません。

それで、猪子くんが「俺は営業の、お前は開発のバイトでいろいろとノウハウを盗んでこよう!」と手分けして、会社設立のためのバイトを始めたんです。僕は知人が運営しているスタートアップ企業にもぐりこんだんですけど、そもそも会社に勤めたことがないから、「会社がどんなものか」わかっていないんですよね。「見積もり」って言葉自体も知らなかったし、「あぁ……契約書ってこういうふうになってるんだ」って勉強して。それから、自分たちでも開発をはじめたんです。

 
――どんなものを開発したんですか?

最初に作ったのは「レコメンデーションエンジン」というソフトウェアの一種で、「これを買った人には、これもおすすめ」みたいな表示を出す技術のことです。その技術をニュースにも活用できたら……とはじめたのが「サイトに登録すると、お気に入りのニュースが届く」というサービス。

今でいうと「スマートニュース」のようなものですよね。ただ、当時はまだ今のように新聞や雑誌がネットにコンテンツを配信しているわけではなく、ネット上にほとんどニュースがなかったんです。結局、1000人くらいしか登録してもらえなくて。

 
――時代が早すぎたのかもしれないですね……。

早すぎましたね(笑)。それで、「どうしよう、これじゃあ全然食えないじゃん」と思っていたら、僕のバイト先の社長さんから「君たち、なんか威勢がいいらしいじゃないか。俺が1000万出してやる!」みたいなことを言われて。

 

――1000万! 学生にはとんでもない大金ですね!

そうなんですよ。「マジで!?」って。でも当時はまだ「出資する」とか「投資家」とか、そういう概念自体をまるでわかっていなかったので、結局辞退することにしたんです。そうしたら、「じゃあ出資する代わりにまとまった仕事をお願いしたい」と、100万円規模の仕事を受注して。それなら、「きちんと法人化しよう」ということになったのが大学4年生の時でした。

 
――ついにチームラボを立ち上げたんですね。

名前もみんなで考えたんです。「みんなでやるから、『チームラボ』にしよう」って。理系の学生って、「ラボ」とか「研究」という言葉に憧れがあるんですよね。猪子くんは優秀な学生を引っ張ってくるために、その言葉を利用しようっていう魂胆があったと思うんですけど(笑)。今でも使われている星マークのロゴも、当時僕がPhotoshopで作ったものが原型になっています。

最初のオフィスは人の家でした。仲間内でいちばん年下のやつがいて、「お前ん家でいいだろ?」みたいな感じで占拠して。みんな合鍵を持って出入りできるようにしてたんですけど、そいつの彼女が居ようが居まいがおかまいなしに作業場にして……ほんと、今考えるとひどいですよね(笑)。

 

「空気が読めるロボット」も登場する!? これからのロボットの可能性


――チームラボで最高技術責任者(CTO)として勤めた後、自らの会社として「ユカイ工学」を立ち上げます。やはり、もともと抱いていた「ロボットを作りたい」という夢が大きかったのでしょうか。

そうですね。2000年頃にSONYが「AIBO」を、HONDAが「ASIMO」を発表して、「大企業がロボットを作る」ことは夢物語ではなくなりました。でも、2005年にアメリカで『Make:』という雑誌が創刊されて、ひそかにロボットベンチャーが盛り上がってきたんです。「小さい会社でもロボットが作れるんだ」って。

それで、2007年にユカイ工学を立ち上げたのですが、最初のうちはまともに取り合ってくれる人はいませんでした。「ロボットビジネスをやりたい」と説明しても、「……趣味ですか?」みたいな。それでピクシブ(pixiv)のCTOを務めながら、ユカイ工学としても活動していたんです。2014年にソフトバンクが「Pepper」を発表して、ようやく多くの人が「ロボットっておもしろい」と感じるようになったんじゃないでしょうか。

 
――確かに、「空想上のものだったロボットが現実に」という印象がありました。

その年に僕らもコミュニケーションロボットの「BOCCO」を発表しました。スマホを持っている人に限らず、小さな子どもやお年寄りの方も含めて、「普通の人が普通に使えるロボット」を作りたかったんです。

 

僕にも小学生の子どもがいるのですが、鍵っ子なので、家でちゃんと留守番できているかわかるといいなと思って。アプリと連動して、玄関に取り付けたセンサーで、誰かが帰ってくるとすぐに連絡してくれたり、気軽にメッセージをやり取りしたりできます。「座敷わらし」みたいに、「家にいると福を呼ぶ」ロボットになってくれたらいいなと。

 
――これから、技術が進歩していくとどのようなことが可能になるのでしょうか。

これは個人的な希望も含みますが、ちょっとした足音や扉を閉める音で、その人の感情の動きがわかるようになったり、「空気」が読めるようになったりするんじゃないかと思います。あと、ブロックチェーン(仮想通貨を実現する技術)の仕組みを活用して資産運用したり、商品が最安値の時にまとめて買ってくれたり……いろんな技術と連動していくことで、可能性が広がっていくんじゃないかと思うんです。

 
――最後に、青木さんのように「起業したい」と思っている学生の皆さんにメッセージをもらえますか。

僕自身は昔から、「みんなと同じことをやりたくない」っていうのがあって、それは現時点でないものを見つけたり、作ったりすることだから、しんどいんですよね。でも、だからこそ得られるものも大きい。皆さんも何か「人と違うこと」に取り組んでみるといいんじゃないかな。たぶん、周りから見るとダサかったり、バカげていたりするような分野にこそ、可能性が潜んでいると思います。

 

<プロフィール>
青木俊介
2001年東京大学在学中にチームラボ株式会社を設立、取締役CTOに就任。2002年東京大学工学部計数工学科卒業。2007年鷺坂隆志CTOと共にロボティックスベンチャー・ユカイ工学LLC設立。2008年ピクシブ株式会社取締役CTO就任。2009年東華大学信息科学技術学院修了(中国・上海)。2011年 ユカイ工学を株式会社化。2015年グッドデザイン賞審査委員就任。

取材協力 ユカイ工学株式会社 http://www.ux-xu.com

 
取材・構成・文/大矢幸世 撮影/伊藤圭

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