そろそろテストや課題レポートの時期。「勉強しなきゃ」「レポート書かなきゃ」と思っているのに机に向かう気が起きず、毎日ぐだぐだと時間をロスしてしまう。そんなイマイチやる気が起きない時にぜひ試したい「やる気スイッチの入れ方」を、『勉強にハマる脳の作り方』の著者であり脳科学者でもある篠原菊紀さんから聞いてきました。脳の働きを上手に活用して、机に向かうまでの時間を節約しましょう。
ちょっとした「儀式」でやる気スイッチON!
やる気スイッチを入れるためには、簡単な「儀式」を取り入れると効果的。自分なりの「決まり事=儀式」を行ってから机に向かうのです。脳内にあるやる気の中核・線条体は、「行動」と「快感」を結びつけることで「やる気」を生み出しています。なので、何でもいいので行動を起こすとやる気スイッチが入りやすくなります。また慣れた行動だと脳はリラックスモードに入り、「やだな」「あれもしなければ」など余計な雑念も消えやすくなって、快感が得られやすくなります。
篠原さんによると、この線条体の腹側(下のほう)は「快感」にかかわるドーパミン神経系と強く結ばれています。だから「儀式」という行動が心地よいことがポイント。もしくは「心地よい」「楽しい」「やる気になる」といった快感と儀式を結びつけるようにするとよりよいのです。
では、どんな「儀式」をやればいいの?
「儀式」と聞くとお祈りやろうそくなど、道具が必要なイメージがありますよね。しかし、やる気スイッチをONにする儀式に特別な道具はいりません。篠原さんによると、簡単にできるなら何でもいいのだそうです。
例えば、
・片付けをする
・勉強のスケジュールを書いて読み上げる
などは、勉強の取り掛かりにも直結するのでおすすめ。しかし、そもそも机に向かう気が起きない人は、身体をリズミカルにたたくタッピングなどでも大丈夫です。
さらに、言葉を発することも効果的です。脳は“使った言葉”によって心身を変えてくれます。いわゆる「暗示」ですね。儀式の時に動きだけでなく「やるぞ!」「これ楽しい!」など、脳に心地よい暗示をかけるような言葉を発すると、よりやる気が出てきますよ。
これらを踏まえて自分なりの儀式を見つけましょう。最初のうちは「こんなのでやる気が起きるの?」と思うかもしれません。しかし、毎日続けると「この儀式をやったら机に向かう」という脳回路ができ、ぐだぐだする時間を節約できますよ。
それでもどうしてもやる気が起きない時は
儀式を行い机に向かったものの、今日はどうにもやる気が起きない。そんな日もあります。その時は、まずは5分間粘ってみる。そうするとエンジンがかかってきて、すんなり勉強に入り込めることが多いです。それでもやる気が起きないなら「今日はダメな日」と見切りをつけて明日に回してしまうのも手。できないまま粘ると行動と不快感が結びつき、やる気が低下してしまいます。いったん机から離れてリセットし、気持ちを新たにして頑張りましょう。
いかがでしたか? 儀式は勉強だけでなく、様々なシーンで活用できます。例えば、私生活とバイトの切り替えとして取り入れることも可能です。やる気スイッチのON・OFFを上手に使って、メリハリのある毎日を過ごしませんか?
篠原菊紀(しのはら きくのり)さん
脳科学者
諏訪東京理科大学共通教育センター教授
光を使って日常的な脳の活動を研究。メディア出演、著書多数。企業からの受託研究、各種産業との共同研究も数多く手がける。
http://higeoyaji.at.webry.info/
文/アトリエあふろ