アーティスト・鈴華ゆう子(和楽器バンド)インタビュー「やり甲斐を求めて働いたアルバイト経験が、今の自分を支えている」

和楽器バンド 鈴華ゆう子 インタビュー アーティスト詩吟、和楽器とロックを融合させた、8人組新感覚ロックエンタテインメントバンド、和楽器バンド。今回は、リーダーでボーカルの鈴華ゆう子さんが登場。妖艶でミステリアスな彼女に、意外にも多彩なバイト遍歴について語ってもらいました。4月25日にリリースするアルバム『オトノエ』についてもインタビュー!

 

博物館のように、アルバムのどの曲から聴いて廻っても楽しめる作品

和楽器バンド 鈴華ゆう子 インタビュー アーティスト――ニューアルバム『オトノエ』は、どんなことを考えて制作し始めたんですか?

和楽器バンドは今年メジャーデビュー4年、結成してから5年が経ったんですけど、5年間やってきたことの集大成は、昨年末に『軌跡 BEST COLLECTION+』というベストアルバムで表現したんです。そしてその時、次の進化を見せるために1つテーマを設けたアルバムを作ってみようと話して。今回は“ミュージアム”というコンセプトで制作することになりました。

――なるほど。1曲1曲を聴いた時に絵画を見たような感覚になれるから、“オトノエ”なんですね?

そうです。私は幼少期からクラシックピアノを始めて、音楽大学でもピアノを専攻していたんですが、クラシックピアノを通して学んできたもの……ドビュッシーなどの印象派時代からインスピレーションを受けまして。その感覚をメンバーと共有して、和楽器バンドの音楽と融合させたいな、と。だから、曲によってはオーケストラを取り入れたり、新たなことにも挑戦しながら、博物館のように、アルバムのどの曲から聴いて廻っても楽しめる作品を作っていきました。

――それこそ、ギターの町屋さんが作詞作曲されたリード曲『細雪』は、MVも絵画の中で演奏しているような世界観で、すごく素敵でした。

ありがとうございます。ただ、コンセプト自体は“デジタル枯山水”ということで面白い案だなと思ったんですけど、全編フルCGで、撮影中はブルーバックなので……(笑)。その都度、監督さんからシーンの説明を受けながら演じていました。楽曲自体も、デモを聴いた時からメンバーの反応がすごく良くて、1年ほどずっと温めていた曲だったので、ようやくリリースできて嬉しく思っています。

 

最初のバイトは、1ヵ月限定のフランス料理屋

和楽器バンド 鈴華ゆう子 インタビュー アーティスト――では、ここからは鈴華さんのバイト遍歴についても聞かせてください。最初にしたバイトはなんでしたか?

最初はフランス料理屋さんのウェイトレスでしたね。高校時代は親からアルバイトをしちゃダメって言われていたんですけど、音大への進学が決まって、ようやく許可が下りたんです。ただ、高校を卒業したから早くバイトをしたかったんですけど、4月から上京することが決まっていたので、そこは1ヵ月間限定だったんですよ。

――1ヶ月間って、よく雇ってもらえましたね(笑)。

知り合いの方がやっているお店だったので、お願いして雇ってもらいました(笑)。バイトを始めた動機としては、3月から一人暮らしをしていたので、そのお金を稼ぐっていう意味もあったんですけど、何よりも“バイトを通していろんな社会を見てみたい!”っていう気持ちが大きくて。中でも、私は小さい頃からおままごとが好きで、レジ打ちとウェイトレスをずっとやってみたかったので(笑)、その延長でそういう仕事をするのがとくに好きでした。

 

音楽尽くしの生活の中、バイトがリフレッシュになっていた

和楽器バンド 鈴華ゆう子 インタビュー アーティスト――とはいえ、実際に音大に入ってからは、バイトをする時間なんてなかったんじゃないかな?と。

いえ、ありますよ(笑)。大学に入学してからは、自分の家のすぐ隣がコンビニだったので、そこで1年くらい働いていて。そのコンビニが移転してしまったのを機に、それこそ求人サイトとかでバイトを必死に探すことになったんですけど、学生時代は飲食店で働くことが多かったですね。居酒屋さんとか、カフェとかでバイトしていました。

――どのように両立していたんですか?

両立というか、私の場合はバイトがリフレッシュになっていましたね。学校にいる時は、ずーっとピアノを練習していないといけないし、1対1で先生とレッスンしたりするんですけど、バイト先では毎回出勤してくるメンバーが違うから、“今日は誰と一緒かな?”っていうのが楽しみだったんですよ。なおかつ、飲食店だとキッチンに入る日とホールに入る日でも絡む人が違うので、ホールの日の常連さんとの触れ合いとかも好きでした。

――鈴華さんは、人と接するのがお好きなんですね。

そうですね。もともとは初対面の人と接する時に緊張してしまっていたんですけど、接客の仕事を通して、自然と笑顔で話せるようになりましたし、居酒屋とかだとバイト同士のチーム感もあるから、週末には“このメンバーで乗り切るぞ!”みたいな雰囲気があって楽しかったです。それに、バイトにやり甲斐を求めていたタイプだったので、忙しい中でどれだけ自分が活躍できるか?というのも、意識しながら働いていました。

 

会社に勤めた経験が、今のアーティスト活動に活きている

和楽器バンド 鈴華ゆう子 インタビュー アーティスト――他に印象的だったバイトはありますか?

バイトとはちょっと違うんですけど……。音大を卒業した後、ピアノの講師を始めたんですが、最初から生徒さんがたくさんいたわけじゃなかったので、生徒さん達が学校や仕事を終えてレッスンに来る前の空き時間に、契約社員として、金融系の会社で事務や電話受けの仕事をしていたことがあるんです。そこでは2~3年働いたんですけど、正社員ではないにしろ、一般の会社に触れることができたのはすごく良い経験になったなって思いますね。仕事に対する責任の重さはバイトの人とはちょっと違いますけど、仕事を覚えることや、それを後輩に教えていくことなど、会社の仕組みを知ることができました。

――そこでの経験は、今、アーティストとして活動する中でも活きているんでしょうね。

そうですね。私自身はアーティストですけど、周りでサポートしてくれている人達は会社員ですから。もし私が音楽尽くしの生活をしていたら、違う目線で物事を見ることが難しかったと思うんですけど、会社で働いた経験があることで、みなさんが会社員としてどんなに一生懸命になって1つのモノを作ろう、売ろうとしているのかよくわかるし、お互い、わかり合いながら制作できているなって思います。

あと、飲食店では直接顔を見てお客さんに接するわけですけど、電話越しだと、顔が見えないぶん、声の笑顔とか、お話を聞く時の間とか、こちらのお話をするタイミングとか……気をつけないといけないことがたくさんあるので、すごく勉強になりましたね。最近は歌だけでなく、ナレーションの仕事をいただくこともあるのですが、電話受けの仕事のお陰でできるようになったことがたくさんあるなと感じています。

 

やり甲斐を感じながら働くことで、何かしら将来に繋げることができる

和楽器バンド 鈴華ゆう子 インタビュー アーティスト――それにしても、鈴華さんからは大変だった仕事の話が全く出てきませんね(笑)。どんな仕事でも楽しんでやられていたんでしょうか?

あはは、それはそうですね。バイトの場合、自分の力だけではダメだと思ったら、先輩にバトンタッチすることも必要だし、そのタイミングを学ぶところだと思うんですけど。私は、電話口ですっごい怒ってるお客さんの対応をする時も、自分の力でどこまで対応できるか?を試すのが楽しくなってきちゃって(笑)。

――ピンチを楽しめるって、すごいです。

新人の頃は、手に汗握りながらやってましたけどね(笑)。でもやっぱり、お金のためだけに働いてると、つまらなくなっちゃうと思うんですよね。自分には何が合うんだろう?とか、やり甲斐を感じながら働いたほうが、何かに繋がっていることを実感できると思う。私は、そうやって働いてきて、すべてが今に繋がってるなって感じています。

 

■Profile
鈴華ゆう子(和楽器バンド)
和楽器バンドは、鈴華ゆう子(ボーカル)、いぶくろ聖志(箏)、神永大輔(尺八)、蜷川べに(津軽三味線)、黒流(和太鼓)、町屋(ギター)、亜沙(ベース)、山葵(ドラム)からなる、8人組新感覚ロックエンタテインメントバンド。2013年3月に結成し、2014年4月23日にアルバム『ボカロ三昧』でメジャーデビューを果たす。

◆和楽器バンド OFFICIAL SITE:http://wagakkiband.jp/
◆和楽器バンド Official Twitter:@WagakkiBand
◆鈴華ゆう子 Official Twitter:@yuchinsound

 
編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
取材・文:斉藤碧

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