外国人から「日本で働く・暮らす」って、実のところ、どのように見られているのでしょうか?そこで、フロムエーしよ!!では、さまざまな外国の方から見た日本をご紹介していきます。第6弾は、日本在住歴2年のイギリス人「Alfred Blincowe(アルフリッド・ブリンコー)」さんです。
通勤に対する周囲の理解の無さで、辛い思いをすることに…
――あなたが日本で経験したバイトはどういったものでしたか?
英会話スクールで働いていました。市内の色々な所に派遣されて、各教室で教えていました。そして、授業後はメールで振り返りのレポートを送っていました。
1日に1~2クラスを教えていて、報酬は1クラス3,000円くらい。
――当時の上司や同僚はどんな存在でしたか?
同僚はアメリカ人がほとんどで、長い間イギリス人は私一人でした。
日本人にはアメリカ人もイギリス人も大差なく見えるかもしれませんが、実際には文化が全く違います。なので、最初は同僚と関係性を築くのが難しかったですね。
彼らは私よりはるかにテンションが高く、長く一緒に過ごすことでようやく共通点を見出すことができました。まるでアメリカと日本の2か国にいる外国人のような感覚でしたね。
――そのバイトの最も楽しかったエピソード・辛かったエピソードを教えてください。
クラスで生徒と話している時が楽しかったです。
生徒は、トランプ大統領の言動や日本へ来る観光客のふるまい、食べ物についてなど、様々なテーマでおしゃべりをし、その中でいろいろな発見がありましたね。
辛かったのは、通勤に対する周囲の理解の無さでした。
私は婚約者と一緒に暮らしていて、彼女と離れたくなかったので、郊外に住んでいました。毎日、通勤に1~2時間かかって、大変でしたけど、何とかこなしていたんです。
ただ、日本の方々には、「便利な市街地に引っ越せばいいのに」と何度も言われ、その都度落ち込み、最終的には、それが理由で、仕事を辞めることにしました。
YouTube映像の制作はすごく楽しい!!日本でも活躍の場が増えるといい
――その仕事を通して一番驚いた日本人の行動・考え方は何ですか?
パートとフルタイム従業員の待遇が異なることが腑に落ちませんでした。
私の国では、フルタイムでもパートでも仕事は重要で、パートの給与で家族を支える人もたくさんいます。日本は厳しい仕事文化で有名なのに、この考え方はすごく異様だなと思いました。
それから、出身国によって偏った思い込みを持たれることも困りました。
私はイギリス人なので、舞踏会に行って、普段着でもスリーピーススーツを着て、どこにでも傘を持ち歩いて、フィッシュ&チップスを毎日食べているのかと聞かれました。どれも当てはまりませんよ!日本人は、もうちょっと海外の文化を勉強した方がいいかと思います…。
――「天職が見つからない。やりたいことが見つからない。」という悩みを持った方に対して、どんなアドバイスをしますか?
充実感のない仕事を楽しむことなんて、誰もできないんです!
やりたくない仕事をやらざるを得ないのであれば、同僚との仕事を楽しむか、仕事外で楽しいことを見つけましょう。
これも不可能なら、夢を実現するまでは、ネットでできるフリーランスの仕事を探すことです。
――あなたの国の、日本にはない面白いバイトがあれば教えてください。
大学でYouTube映像を作っていました。
最低限の賃金で週に7時間しか働いていませんが、すごく楽しかったです。
ソーシャルメディアの仕事は世界中で需要が増えている分野だし、日本でも正しく使われればニーズのある業種だと思います。
日本は女性が昼でも夜でも安全に歩けるのがすごい!
――もし、あなたが経営者となって、日本の何らかのサービスや商品を母国に輸入する事業に携わるなら、どんな事業を手がけますか?
日本にはヨーロッパにないお菓子がたくさんあります。
私の国にあるのはポッキーくらいですね。個人的にはあんこやサツマイモがすごく好きで、イギリスに輸出してデザートとして使ってみたいです。
――日本で暮らしてみて、驚いたこと/好きなところはなんでしょう。
安全なところが好きです。
イギリスでは、昼間でも女の子が歩きスマホをしていたら、スマホをひったくられますよ。
日本は女性が昼でも夜でも安全に歩けるのがすごい!
――日本にも取り入れて欲しい・理解して欲しいあなたの国の文化・慣習を教えてください。
イギリスでは、鼻が詰まっている時に、日本人のようにすすることは無礼と考えられています。
くしゃみをしたり鼻をかんで、ハンカチに出すことが正しいマナーなんです。
――日本で最も感動したエピソードを教えてください。
英会話スクールの生徒にテーマカフェを作る課題を出したことがありました。
ある生徒さんが、私の趣味嗜好に沿ったカフェを作ってくれたんですが、私の名前にちなんだカフェまで命名してくれました!とても嬉しかったですね。
家族を日本に案内するなら、沖縄へ連れて行く!
――あなたの国で、有名な日本人を一人挙げてください。
「カズオ・イシグロ」です。
長崎で生まれ、イギリスの南部にあるサリー州で育った作家になります。「わたしを離さないで」は大変な評価を受けてハリウッドで映画化もされましたよね。
――家族や友人が日本に旅行する際、あなたが案内役ならどんな計画を立てますか?
沖縄に連れて行きます。
私の家族は水泳とスキューバダイビングが大好きで、トレッキングも楽しめると思いますので。
自然を楽しむという点では、長野県もいいですね。
私の友人たちは都会に興味があるので、新幹線で広島~東京へ連れて行きます。
宮島を見てから岡山へ向かって、神戸牛を食べて、大阪の美味しいお店にいったり、京都や奈良の歴史を散策したりして、最後には東京で日本の文化の中心を楽しむというプランがいいんじゃないでしょうか。
母国イギリスでは、教師として大学に勤務。指導法を勉強するために来日し、現在2年目。教師であると共に、ドキュメンタリー映画の制作者でもあり、フリーライターとしても活躍。