「食」のプロフェッショナルである管理栄養士は、厚生労働大臣の免許を受けた国家資格です。栄養士が食生活のアドバイザー的な業務を行うのに対して、管理栄養士は栄養指導のための企画や大規模給食施設における管理業務、労務管理を行います。より高度な知識を必要とする管理栄養士を目指す人が多い中、気になるのが給料や待遇です。ここでは管理栄養士を取り巻く環境について解説していきます。
【目次】
管理栄養士の一般的な給料は?
食に関する業務の中で人気があるのが管理栄養士です。管理栄養士と栄養士は同じような業務内容と思われがちですが、明確な違いがあります。大規模病院や施設には管理栄養士の設置が義務づけられ、ほかの栄養士に対し教育・指導を行うことができます。そのほか、病気の人の療養のための栄養指導など、栄養士では認められていなくても、管理栄養士なら行うことができる業務もあります。こうした管理栄養士の業務は、栄養士よりも高い知識と責任が伴うため、一般的には栄養士よりも給料が高めに設定されており、平均年収は300万円~400万円のゾーンが多くなります。
年収については、公務員として働くのか、民間企業で働くのかにより変わります。公務員の場合は人事院で定められた給与体系に応じて給与が支給されます。勤続年数や年齢に応じて年々給与が上がっていくため、給与については安定性が見込めます。また、民間企業では、企業により給与水準が変わるため、就職の際には、平均年収の相場を基に判断することが大切です。また、アルバイトやパートの場合は時給1000~1500円程度と言われています。専門的な知識が必要な仕事であるため比較的高水準となっています。
管理栄養士の待遇は?
待遇面について見てみましょう。民間企業で正社員として働く場合、一般的には年に1回の昇給、年に2回の賞与があります。また会社によっては資格手当が給与に上乗せされる場合もあります。しかし、昇給や賞与は企業業績などに影響を受けることがあるので、会社によってまちまちです。過去の実績や評判、従業員への待遇改善の動きの有無など、情報をできるだけ収集するとよいでしょう。そのほか、社会保険制度・通勤手当・有給休暇制度など、企業の福利厚生が受けられます。
ただし、パートやアルバイトとして雇用されている場合は、労働時間やそもそもの契約の違いにより、各種手当が準備されていないケースがあります。管理栄養士の仕事をパートやアルバイトなどで行う場合、自分にはどういった待遇があるのかを確認しておく必要があるでしょう。
仕事としての将来性はある?
管理栄養士の活躍の場は増えてきており、大規模給食施設である学校や病院、大型福祉施設を始め、官公庁や保健所、民間企業の社食や工場、スポーツ施設など食を扱う団体であれば、管理栄養士の知識と能力が活かせます。また、給食施設だけではなく、食のプロフェッショナルとして食品会社での新製品の企画立案といった活躍の仕方もできます。さらに独立し、フリーで管理栄養士の仕事を請け負うこともでき、特定保健指導業務の請負や飲食店・レストランなどへの就職、カフェなどの経営も可能です。
食に関する仕事全般において、高い知識が活かせるという大きいメリットが管理栄養士にはあります。高齢化社会の中で、食を中心とした生活習慣や健康へのアプローチがクローズアップされることも予想され、今後ますます管理栄養士の活躍の場は広がる可能性があります。管理栄養士の将来性は高いと言えるでしょう。
管理栄養士は将来性とやりがいのある仕事
栄養士はバランスのとれた献立の作成など、食のアドバイザーとしての活動が中心です。管理栄養士は、さらに高い知識を持って、病気や療養が必要な人のための栄養指導、管理業務や労務管理などの業務も行います。食のプロフェッショナルとしての管理栄養士の魅力は、専門的な業務や高い将来性だけに留まりません。人々が健康でいきいきと生活できるために様々なフィールドから支援できる管理栄養士は、やりがいの大きな仕事であり、食に関係する仕事に就きたい人におすすめの資格です。
監修:池上 淳子